夢の中で夢を見た話
ねもも
第1話
あれ?なんだここ。俺はさっきまで公園で座ってたはずなのに。まるでロンドンの街並みだ。通行人に話を聞いてみるか。
「すいません、ここはどこですか?」
「何言ってんだ兄ちゃんここは✕✕だよ」
良かった…言葉は通じる。でも場所がわからない。場所を言った部分だけが何度聞いても掻き消えてしまう。ここを抜け出すには何か方法があるはずだ。まずは持ち物の確認だ。携帯は…圏外?使い物にならない。財布はあるが3000円ほどしか入っていない。かなり厳しい状況だ。防寒具は揃っている。ほかは何も無い。とりあえず休める所を探そう。突然後ろから話しかけられた。振り返ると中年女性だ。
「困っているようだね。私の家で少しの間面倒を見てあげようか」
なぜ、俺の状況を知っている?胡散臭さしかないが、他に縋るものが無い。ここはついて行ってみよう。
「ここが私の家だよ」
「お邪魔します」
なんだ、割と普通だな。魔女みたいな家を想像していた。
「家の雑用をすべてやってもらおうかね、話はそれからだ」
「わかりました」
その日、雑用をこなした俺は疲れ果て泥のように眠った。
物音が聞こえ飛び起きた。気がつくと拘束されている。目を開くとあの女がニヤリと笑い、
「✕✕から抜け出さしてやろうかね」
と呟き、刃物を俺の胸に突き立てた。
気がつくと公園のベンチに座っていた。ああ、なるほど。「夢の中」だったのか。安心して顔を上げると、あの女が笑っていた。
夢の中で夢を見た話 ねもも @nemomo8193
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