ちょっと待ってくれませんか?
そんなこんながあり大会初日。
会場となるのは某ドーム球場。
連れられてきた時はマジでビビった、だって普通ゲームの大会とかでここは使わないでしょ?
ドームの真ん中には巨大なスクリーンとステージがありブースが設置されてそこで対戦が行われるようだ。
会長さんとナナミンは今回は不参加なんだけど関係者パスを貰い私達と一緒に控え室にいる。
「ホントにこんなとこでやるんだね」
「そうですね、僕も久しぶりですよ。これだけ大きな会場は」
「だよな!ほらいつかのオーストリアの大会以来じゃないか?」
「ああ〜あれはびっくりしたよね〜」
「オーストリアの大会って?」
「ロクが世界一になった記念すべき大会だよな」
田中君はそう言ってスマホの写メを見せてくれる。
高校一年の時、5人でチームを組んで参加した大会らしくそこでロクくんが個人戦で優勝し世界ランクが一位になったそうだ。
それ以来ロクくんは2年間ずっとランク1位を維持し続けている。
今回の大会でもし初戦敗退になるとランクが下がるかもしれないそうだ。
「へ、変なプレッシャーが……」
「ははは、相川さんなら大丈夫ですよ、意外と上手いですから」
「そ、そう?」
「ええ、伊達にランク1位に教えてもらってないわね」
檜山君と会長さんに励まされ更にプレッシャーがかかる気がする私。
…………
「いやぁ一時はどうなるかと思いましたけど案外何とかなるものですね」
「し、心臓に悪いわよ……」
「ははは、大活躍だったじゃないですか。相川さん」
事細かく大会を説明したいところだけど……結果としては準優勝に終わった。
それはそれは凄まじいプレッシャーの中、這々の体で3日目を過ごした私はもう疲労困憊でホテルに着くと同時にベッドへ倒れ込んだ。
特に酷かったのが決勝戦だった。
相手のチームはロクくんと田中君の元チームメイトで2人を熟知していてかなりやりづらい相手だった。
最終的に残ったのは相手のリーダーと……何故か私。
一騎打ちになり善戦虚しくやっつけられたけど楽しい3日目だった。
チームとしての底力で負けた感があって私じゃなく会長さんかナナミンが出ていたらと思ってしまいちょっと落ち込んでいる。
「まぁいつも勝てるわけでもないですからね」
ベッドに顔を埋める私の頭を撫でてくれつつ穏やかに笑うロクくん。
「だってぇ……」
「先生らしくないですよ、ほら笑って」
「ふえぇ〜ん!ロクく〜ん!」
たかがゲーム、だけど私はホントに悔しかったのだ。
こんなに悔しいと思ったのは学生時代の部活以来じゃないだろうか。
泣き疲れて寝てしまった私をロクくんはずっと優しく撫でてくれていた。
「「ただいま〜」」
ようやく帰ってきました我が家(仮)。
夏休みだけど明後日からは私も学校があるしロクくんもバイトがあるそうなのでゆっくり出来るのは今日くらい。
晩御飯を作る気力も残っていないので帰り道のコンビニで適当に買い込んできた。
「そういえば、ロクくん」
「はい、どうかしましたか?」
「お風呂で何か言ってたのってなんだったの?」
あの日、2人でお風呂に入っていてロクくんが何か言っいた、あれがどうにも気になって仕方ない。
「気になりますか?」
「うん、それはもちろん」
あの会話の流れからすると……そういったことに関わる何かだと思うんだけど。
「何の話をしていたか覚えてますか?先生」
「うん?うん、一緒にお風呂に入ってて……ロクくんは何もしたくならないのかなぁって」
「ちゃんと覚えてるんですね」
「当たり前じゃない」
「そうですか」
ん?あれ?何か……この雰囲気って?
ロクくんと私の間の空気が少し変化したように感じる。
あれれ?
「あっ….…ろ、ロクくん?」
気がつけば私はロクくんに抱きしめられ床に押し倒されていた。
「ちょっ……ど、どうしたの?ロク……」
「あの時の返事です。大会が終わったら……こうするつもりでした」
「ろ、ロクく……んっ……は、あぁっ」
唇を重ねられ、ふわっとした感覚に包まれる。
「ベッドいきましょうか」
お姫様抱っこをされて寝室へと運ばれる私。
ちょ、ちょっと……心の準備が……
「あ、あのね、ロクくん?えっとね、あのね」
はわわわわ〜
…………
結果……ロクくんは……すごかったです。
はい。
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