私も参加するんですか?



 冬が過ぎて春がすぐそこまでやってきている気配のする3月も終わり頃。

 ロクくんは高校3年生になり受験を控える身となるわけで、受験勉強に精を出している……かと思えばそうでもなく。


「だからそこはチーム戦だからキャラを変えないと……」

「じゃあ檜山が変えろよ、大体遠距離オンリーってどうなんだよ?」

「ロクはどう思います?やっぱり田中が変えるべきですよね?」

「いやいや檜山が変えるのが一番だって。俺とロクが遠近両用でいけるんだからサポートに回るのが手っ取り早いだろ」


 ……とまあこんな感じでロクくんの部屋で今度の大会とやらの作戦会議をしてるわけで。


 キミ達受験はどこにいった?受験は。

 昨日の晩から延々と作戦会議が続いていて先生は正直どうでもよくなってるよ?


「先生はどう思います?」

「え〜わかんない〜どっちでもいいしぃ〜」

「なんでギャルっぽくなってるんですか?」

「だってぇ〜チョーヒマなんですけどぉ〜」

 昨日から泊まりで3人頭をくっつけて延々とだよ?そりゃあヒマにもなりますって。


「とりあえず一旦休憩を挟んでからにしようか」

「仕方ないですね、相川さんもヒマしてるみたいですから、ロクがちゃんとお相手してあげないと」


 お茶にポテチをつまみつつロクくんにその大会について聞いてみる。


「今回は世界大会の予選も兼ねてますからね、こんなところで負けるわけにはいかない訳ですよ」

「ふ〜ん」

「一応個人戦のシードは3人共あるんですけど団体戦の予選会でもある程度実力差を見せときたいですから」

「へ〜」

「……大会の優勝賞金は300万ですしね」

「……ロクくんっ!気合い入れて頑張ってね!!」

「…………わかりやすい人ですね、先生は」


 はははと4人で顔を見合わせて笑う。

「今回はチーム戦ですし、優勝しても山分けですからそれほどでもないですよ」

「えっ?でも一人100万でしょ?」

「ん?一人70万ちょっとですよ」


 あれ?3人じゃないのかな?

 70だと4人になっちゃうよ?あ、もしかして今日は来てないメンバーがいるのかな?


「僕と田中、檜山に先生で4人じゃないですか」

「ほへ?」

「いやぁ相川さんが出てくれると助かりますよ」

「そうですね、ある意味保護者同伴な感じです」

「……え〜っと?何の話?」

「ですから次の大会は4人1チームですので先生にも出てもらおうかなぁってことです」


 ちょいちょいちょいちょっと待ったあぁぁぁ!

 今なんと?私がアレに出る?

 いやいやいや、おかしいでしょ?それ!

 場違いにも程があるって、素人です!ど素人!


「先生は見てるだけでいいですから、ね?」

「そうですよ、相川さんは突っ立っててくれれば大丈夫なんで」

「あの……拒否権は?」

「「「ない(です)」」」

「あ、そう」


 という訳で何故か私もその大会とやらに出場することになったんだけど……休み取れるかしら?



 な〜んて考えたんだけど楽勝で有休とれちゃいました。担任のクラスがないと楽チンだね。

 大会も日帰りで行けるらしいので当日の朝にロクくん宅に集合して私の車で向かうことになり私は当然前日からロクくんの部屋に泊めてもらうことに。


「特に何も持っていくものとかはないんだよね?」

「そうですね、データはネット上に保存してありますから心配ないですし」

「お弁当作ってあげようか?」

「あ、それは嬉しいですね。お願いします」

「よしっ腕によりをかけて作ってあげるねっ!」


 お弁当のお駄賃に……ちゅ〜うを。


 ちゅっ。

「んふっ……あ、んんっ……ふっ」

 ロクくんにしては珍しく情熱的なキス。

 んっ……ちょ、コレは気持ちいい……


「あ……はぁっ……んん」

「お駄賃はこれで足りましたか?」

「ん……腰に力が……」

「そんなに激しくはしてないつもりですが」

 と言いつつも、もう一度唇を重ねてくるロクくん。


 あっ……ダメだって。

 ふぁっ、キスでこれなんだから……あんなことやこんなことになったらどうなっちゃうんだろう……

 ……あんなことはされたけど……こんなことはしてないし。


「先生、明日はちゃんと起きて下さいよ」

「ふ、ふぁい」

 くてっとその場で倒れた私をつつきながらロクくんは人の悪そうな笑いを浮かべていた。


「ひゃっ、あのっ、つつかないでっ!」

「ん?ああ、すみません。つい」

「ひょっ!ふぁっ!あぁ……んっ」


 この日の夜のロクくんはいつもに増してイジワルで……エッチでした。


 つつかれて気持ちいい私って……





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