下着にエプロンはどうでしょうか?
ロクくんが私の彼氏になってから2週間ちょっとが過ぎた。
その2週間はというと……
「ロクくん!付き合って1週間記念!イェーイ!」
「はいはい」
私が振り上げたハイタッチにぺちっとタッチするロクくん。
「ふえぇ〜ロクくんが冷たいよ〜」
「ロクくん!付き合って2週間記念だよ!イェーイ!」
「はいはい」
ぺちっ。
うっ、くっ、そんなクールなロクくんも……好き〜!
と、まぁこんな感じでした。
ちなみに晩御飯はちゃんと来なくていいって言われた日を除いて毎日作ってあげてます。うん、彼女の鑑だね。
来なくていいって言われる日は、だいたいロクくんがゲームをしている日。
ネットゲームをする日は相手出来ないから来なくていいらしい。
見てるだけでもいいんだけどなぁ〜って言うと、気が散るってピシャッと言われてしまった。
もうっ、照れ屋さんなんだから!
「ロクく〜ん!」
「こんばんは、先生」
今日は職員会議でちょっと遅くなってしまった。
ロクくんの部屋に入るとロクくんは私の方を、ちらっとも見ずにゲームの画面に集中してる。
いやん!真剣な横顔もステキ〜!
黙々とゲームをするロクくんの隣に座って、ジーっと横顔を眺める。
眺める。
眺める。
眺め……
えっと……無視ですか?
「ロクく〜ん?」
耳元で呼んでみても返事は返ってこない。
「あの〜?彼女さんですよ〜?お〜い?」
……無視?
全く反応してくれないロクくん。
ふふん、いいもんね〜
ジーっと再度横顔を見つめる私。
ちゅっ。
あれ?
ちゅっちゅっ。
あれれ?
そんなロクくんのほっぺにキスをしても全くの無反応。
「グスッ、放置プレイですか〜?」
仕方なく私は、晩御飯も食べずに一心不乱にゲームをするロクくんのためにちょっと遅い晩御飯を作ってあげることにする。
「ロクくん、晩御飯まだでしょ?作ったげるね〜」
「…………」
いいもん、いいもん、よいしょっと。
エプロンを着けてキッチンで晩御飯の用意をすることにした私。
冷蔵庫の中は毎日私が色々買い物をしてきてるからすっかり充実している。
私は鼻唄まじりに晩御飯の用意をしてロクくんがゲームを終わるのをキッチンの椅子に座ってじっと待つことにした。
2時間くらい経った頃にようやくロクくんが画面から目を離したのを見て、堪らず飛びつく。
「ロクく〜ん!」
「わっ、先生っ!」
えへへ〜っとロクくんを押し倒す。
「ちょ、ちょっと先生っ!なんて格好してるんですか!」
「うん?イヤ?」
「いや、イヤとかじゃなくて……」
ロクくんがハダカエプロンはダメだって言うから妥協して、下着にエプロンにしておいたんだけど。
「だってぇ〜ロクくんが遊んでくれないんだもん」
「それとこれとは別ですって!服!服着て下さいよ!」
「え〜っ、いいじゃない?別に減るもんじゃないし、ね?」
今日の下着は黒のレースっぽいのにストッキングにガーターベルト。
オトナっぽくセクシーに、エロい感じにしてみた。
「あのですね……目のやり場に困るんですって」
「そう?私はロクくんの彼女だし、ジックリ見てくれていいんだよ?」
「ジックリって……」
ロクくんに馬乗りになったままエプロンをチラッと上げてみせる。
チラッと。
えへへ〜このまま既成事実を……ムフフ……
「ロ〜ク〜く〜……」
「先生……なんか焦げ臭くありません?」
「え?あ〜っ!」
私は慌ててキッチンに走っていく。
「あ〜っ、焦げちゃった……」
魚を焼いていたのをすっかり忘れていた私がオーブンを開けた時にはもうすっかりと真っ黒に焦げた鯵が……
「先生がしょうもないことするからですよ」
「むぅっしょーもなくないもん!」
「はいはい、晩御飯作ってくれたんでしょ?食べませんか?」
「うぅ〜っ」
ロクくんはすっかり平静を取り戻したみたいで残念だけど仕方ない。
「ちょっと待っててね、テーブルに運ぶからね〜」
「はい」
「後ろから見たらすっごくエロくない?この格好」
お尻をちょっとフリフリとしてみる。
「わかってるならやめて下さいよ」
「うふふ〜ヤダ〜」
そうは言ってはいるもののロクくんの表情はあまり変わらないのでよくわからない。
「「ごちそう様でした」」
晩御飯を食べたあとは、ロクくんの好きな紅茶を淹れてあげる。
「あ、ありがとうございます」
「うふふふ、どういたしまして」
「な、何ですか?気持ち悪い笑い方をして?」
「ん〜?ロクくんも男の子だなぁって思ってね〜」
「…………」
「チラチラ見るなら、ど〜んと見てくれていいんだよ?」
「ど〜んって……そりゃ僕だって男ですから……その、気にはなりますって」
「ジックリ見てみる?」
「はぁ……先生には恥じらいってのはないんですかっ!」
「ええっ!ロ、ロクくん……チラリズムの方が好きなの?」
「……何言ってるんですか、この変態先生は」
「そうよね〜やっぱりこのチラッと見える方がいいのよね〜」
エプロンをパタパタとしてみると確かに下着がチラチラと見えて我ながら中々のエロティシズム。
「先生ってホント変態の人だったんですね」
「いやいや、先生はロクくんに喜んで欲しくてやってるんだよ?嬉しくない?」
「嬉しくない……ことはないです……けど」
「でしょ?でしょ?」
相変わらずちょっとぶっきらぼうに言って顔を背けるロクくん。
「それにこういうのって、ほら、順序ってのがあるじゃないですか?」
「うん?順序?」
「はい、イキナリ下着姿でウロウロするのもどうかと……」
「う〜ん、順序かぁ……」
なるほど、ロクくんの言うことにも一理ある。
私としたことが、つい浮かれて失念していた。
「よしっ!確かにロクくんの言う通りね!順序は大事よね」
「ほっ、わかってくれましたか。先生」
「うん、じゃあまずは手は……繋いだから……」
「……?先生?」
タジっとテーブルの向こうで後ろに下がるロクくん。
「次はぁっと」
「えと、あの?先生?ちょっ、わぁっ」
テーブルを飛び越えて私はロクくんに思い切り抱きついた。
「ロクく〜ん、好き〜」
「わっ、先生!ちょっと!ちょっと!」
頬ずりしてロクくんの髪に顔を埋めて胸いっぱいに匂いをかぐ。
「ロクく〜ん、ロクく〜ん。これでハグはおっけーだよね〜」
私はロクくんに抱きついたままでにんまりと笑った。
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