第675話
「
改めてダイバたちダンジョン管理部から来た調査隊と治療院で調査報告をしたときに私からそう報告した。もし相手が使い方を間違えての事故ならペナルティはない。そうでなければ……
「まだ表沙汰になっていない人がいるかも。そうしたら何日も苦しむ患者が現れるかもね。それもどんな薬でも効果がない病気をかかえた患者たちが」
「分かりました。そのような人が現れた場合、鑑定石で
「痛み止めは効かないからね。これは死者の苦しみだから」
のちに衰弱した男がひとり運び込まれた。自分でつくって自分で服薬したらしい。
「被害者は自分だけ。とりあえず自業自得ですみそうだな」
「自分でつくったものを飲んだんだもん。ただの調合ミスで
「独り身らしい」
そう言って出された薬の残りを鑑定する。液体の下剤を自分で使う際は固形化する。浣腸ではなく
「よかった、よかった。子供が同量で飲んでいたら一発で
《 よかった、よかった。
《 よかった、よかった。『子どもなら大人の半分でいいだろ』なんて言いだすバカじゃなくって 》
《 バカはバカでもまだマシなバカ 》
さらりとシーズルを
妖精たちの言葉が、そのまま子どもへのリスクを知らない職員に牽制することとなる。
職員たちは互いに小声で話し合っていったが、ある一角で妖精たちが持っていた小さな木製の定規で職員の頭をぶん殴った。とたんに
「「「あーあ……」」」
「なにを失言したんだ」
《 報告しまーす! 》
妖精が手をあげて注意を集め、全員の視線がその一角に向けられる。何人かが机に突っ伏しているが顔は見えず、痛いからか気絶しているのかが分からない。
《 ここの連中は『それで孤児が死んでもいい』と巫山戯たことを
《 エミリアが個々で調剤していることを『無駄なこと』『余計なこと』と言いましたー! 》
《 よって有罪! 》
《 賛成!!! 》
「「「異議なーし!!!」」」
シクシクシクと嘆く声。突っ伏している職員の中には気絶していない職員もいるようだ。
《 うっとーしい! 》
ばちこーん! という音がして静かになる。意識がない間に、彼らもまたシーズルと同じ道を辿ることが決まった。
《 オラオラオラァァァ! 働け、働けっ! 働けぇぇぇぇ!!! 》
「お願いです、寝かせて……」
《 却下ぁ!
「そ、そんな……シクシクシク」
《 泣いてるヒマがあったら手を動かせー! 》
《 喋っている余裕があるなら、仕事を追加してやる! 》
「ひえええ……」
迷惑にならないよう、ひとりずつ罰を受けていたため、嫌な順番待ちをしている職員たちは震えながら日々の仕事をこなす。
「あれって、孤児院の経営と冒険者学校に関する仕事だよね」
《 孤児に関わらないから生命を軽くみているの。だったら関わらせればいい 》
《 子どもたちに関われば、二度と『死んでもいい』なんて言い出さないでしょ 》
妖精たちも深く考えている。しかし、こののちに起きたナナシとアウミ、ノーマンたちの事件に心を痛めた。アウミと関わって来た子どもたちに心を寄せ、けっして
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