第674話
妖精たちの協力のもと、調合ミスをしている『にわか錬金師』3人、そして分かっていて放置した錬金師5人が判明して捕縛された。
「『腹
さああっと錬金師たちの顔色が変わっていく。全身も小刻みに震える。言わなくても知っているなら恐怖でしかない。
「残り短い、かもしれないその生命……大切に生きな」
そう言い捨てて私は彼らを見捨てた。
死者が出た場合、その人が服薬してから死ぬまでの苦しみを関わった全員が追体験する。死者が多ければ体力を奪われて身体も衰弱し、精神をすり減らして実際に死ぬこともある。
「
だからこそ錬金師の道に入る人は少なく、誓約のある
「誓約とはそんなに厳しいものなのか?」
ダイバにそう聞かれて頭を縦に振る。心配性のシーズルの表情が険しくなる。
「普通にレシピのとおりに
「それでも手を出したというわけか」
シーズルの言葉に私は頷く。ただし一部は訂正しよう。
「連中に覚悟はない。たぶん言いだすよ『こんな
そんな言い分で誓約が発動を止めるはずはない。
「子供は体重によって与える薬の量が違うんだよ」
「子供は大人用の半分、とかじゃないのか」
「…………シーズル? いつか子供ができて、もし病気になったら大人用の薬をあげるから飲ませたら? そして子供が死ぬか、生命が助かっても後遺症が残った姿を見て、自分の言葉が愚かだったって苦しめばいいよ」
私が怒っている理由がわからずに「え? なに怒ってるんだよ」と言われた瞬間に、ノーマンの拳がシーズルの脳天に落ちた。
「おっまえなぁ! エミリアの
「そんなつもりは……」
「エミリアが孤児院の子どもたちが病気になったときに調薬に行ってるのを知っているだろうが! ひとりひとりの症状と使える量を確認して作ってるんだよ。お前のいう通りだったら、大人用を半分与えればいいだけでエミリアはいらないだろ」
ノーマンは
シーズルはノーマンに叱られて土下座して謝った。
……報復に、妖精たちがシーズルにイタズラをしたが、ダイバもノーマンも止めなかった。
《 寝てる暇がない? じゃあ起きてたらー? 》
そう言ってかけられたら何日も徹夜可能の『妖精のめざめ
《 ねむりたいのー? じゃあ、ぐっすりおやすみー 》
そう言って何日も眠り続ける『妖精のねむり粉』を振りかけられて半月眠りっぱなしになった。
シーズルは今でもトラウマになっている。……ノーマンはシーズルのアニキ分だった。あんな風にノーマンに叱られて妖精たちから
もう、自分を叱ってくれるノーマンはいない。
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