第460話
ノーマンたちの死は一部の人たちのみに明かされた。一部とは、ノーマンの養父母など身内たちだ。
『ただの死ではない』
それが非公開の理由だった。
「神獣
集まった遺族にヘインジルが代表して話した。その場には、私もダイバも同席が許されなかった。……都長として、ヘインジルだけが遺族と対面したのだ。
メッシュからその冒頭だけ見せてもらった。私が情報提供者で、回収した遺品をダイバが預かったからだ。報告がされたこと、遺品が返されたことを証明するために魔導具で撮影された映像が見せられたが、ヘインジルの姿だけで遺族の姿は映っていなかった。ただ、一瞬のざわめきに聞き覚えのある声が聞こえた。
「ノーマンって赤ん坊で身売りされたんだよね。それで貴族だった今の養父母に、息子として買われて家族同然に育てられたんだって」
「ああ。しかし、家族が罪を被せられてここへきた。ノーマンを買った金の出どころを疑われたようだ」
「あれ? ノーマンは伯父がお金を使い込んだって言ってたよ」
「それは後でわかったらしいぞ。ノーマン一家が
「でも、ノーマンって話してたよね。爵位を取り上げられたこととか、伯父の罪が確定したら『国に戻ってきてくれ』って言われたって」
「……もう、いないんだな」
ダイバは寂しそうだ。仕方がない、親友だったのだから。そして……
「シエラの様子は?」
「無理してる」
「そっか。仕方がないよね、恋人だったのに何も言わずにいなくなっちゃって。それでもどこかで生きていてくれたら良かったんだろうけど。はいった情報が死亡……それもすでに朽ちたあとなんだから」
「……ああ、ルレインが記憶を消されていた事実があったから。たぶんノーマンもそうだったのだろう」
「ひとつ、考えてることがあるんだけど」
「まだ二人だけでは決定打にするには弱い」
「お前らだけでわかる会話をするな!」
オボロさんがツッコミを入れてくる。ここは鉄板焼き屋、私はランチで来ていた。
「アニキ、少しは自分で考えろよ」
「シエラがなんだっていうんだよ」
「あ? シエラとノーマンが恋人だったって知ってるだろ」
「それぐらいは知ってるさ。それでいったい何が心配なんだ?」
「コールーデーさーん!」
「どうした?」
「うわあ!」
私がコルデさんを呼ぶと、ちょうど二階に広げたテントでエリーさんの教育をしているはずのコルデさんが現れた。タイミングよく現れて、反射的にオボロさんがガタッと立ち上がる。ルーバーがコルデさんをみて皿を手に確認をする。
「コルデ、アルマンとエリーも来るか?」
「ああ、すぐに来るだろ。それでエミリアちゃん、そこの
「どっから聞いてたんだよ!」
「『シエラの様子は?』あたりからだ」
多分その前……ダイバがノーマンがもういないんだって寂しそうに呟いたときからだろう。
「コルデさん、女心を理解できないオバカさんをボロボロにして。シエラに会えないようにしたら、一生懸命頑張って笑顔を見せて仕事してるシエラのココロを傷つけることも言えないでしょ」
「ああ、よくわかった」
私が名前をもじったことに気付いて、コルデさんが笑いながら請け負ってくれた。その裏で、オボロさんが悲鳴をあげていた。
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