第378話
「ダイバ、あの話どう思った?」
「エリーの
私の店の一階の応接セットでダイバと対面で話をしている。実は私たちが考えたのは、エリーさんのアクセサリーが砕けたときに起きた『呪い返し』。それだって、つじつまが合わないことだらけだ。
それとジズが解決した一件が、似ているようで違う点が多い。
「同時刻というけど惨殺体っていう部分が引っかかるんだよね」
「あの男の一件、ジズは『悪い気を祓っただけ』ということだったな」
「それも『浄化されていない魔物の部位が使われていたから魔物の気を纏っていた』ってことらしいよ」
「どこの部位だ?」
「魔物の目」
「……宝石になるんじゃないか?」
「通常ならね。これは騰蛇から聞いたんだけど、自然死した魔物の場合、魔力が残ったままの目は宝石になっても魔力が残っているんだって」
「おいおい……マジかよ」
だから、魔物よけの魔導具が反応して境界線から入られなかった。
「それをジズが壊したことで入れるようになった、ということか」
問題は、その宝石が故意に使われたのかどうかってこと。
「気になる点は、『それを売っていたアクセサリー店の職人の惨殺体が同時刻で見つかった』だよね」
「エリーの一件で使われたのは呪いだ。アレはエミリアの見立てでは『使おうとした時点で壊れる』だったな」
そう、ただの盗聴や盗撮だけなら問題なかった。ただ、それをなぜ呪いを付与したアクセサリーで作ったのかという点だ。
「その場合、相手を確認して呪いを起動させることはできるだろう。しかし、それは装着者が起動させることとなる」
「うちの店内では魔導具は起動と同時に壊れるけど、その前に機能自体が停止するからね。それに私を狙っても無駄なんだよ。私は結界のアクセサリーをつけているんだし」
そういって胸をポンポンと叩く。ネックレスに複数つけた指輪や羽根をモチーフにしたアクセサリーを身につけている。その中に『聖女の魔力を込めた羽根のアクセサリー』をつけている。販売してるのは光の魔力を込めたアクセサリー。どちらも光魔法であるため、バレてはないようだ。
「しかし……アクセサリーの残骸を
ダンジョン管理部にある諜報分析部の
「それなんだけど、女冒険者で商人ギルドにも行きそうなのって……思い当たる奴っている?」
そう聞くと、ダイバは腕を組んで「うーん」と天井を見上げた。そしてあげた顔を下ろして私を見て「エミリア以外にいるか?」と聞いてきた。
「そう、だからエリーさんは私と間違えられたんじゃないかって思うんだ」
「……そう考えるとつじつまがあうんだな」
「そう、向こうは私を知らない。そしてエリーさんは普段から佩刀している。それこそ、一見して冒険者だとわかる姿をしてる」
「はぁ……。それで間違えて渡されたってことか」
ダイバの言葉に私は黙って頷いた。
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