第345話
「これが、そうか?」
「そう。爆弾になっていた女神像」
「……だったもの」
「だった?」
「そう。こんな危険物を、妖精たちも
「それもそうだな」
安全と聞いたダイバが、普通に女神像を持ち上げる。……さっきの怖がり方はどこへ雲隠れしたのやら。
「水の妖精が女神像から少しずつ水を取り出しただけだよ。一度に抜いたらどうなるかわからないから」
「……それだけか?」
「それだけだよ。だってただの水だもん。それがぎゅうぎゅう詰めになって熱を持っただけ。そこから少しずつ水を取り出したら圧力が減る。圧力が減れば温度も下がるでしょ」
そういいながら、フタつきの小鉢のフタをとり、中のたまごボーロをポイポイと口にいれる。そしてフタをしめて小鉢を左右に振ると嵩が減る。そしてまたフタをとって、口にたまごボーロを放り込む。それをダイバは黙って見ていたが「ああ、そうか」と呟いた。
「中身に余裕ができれば圧力が弱まる。それで安全に水が取り出せるということか」
「そういうこと。それと女神像にはコバルトが使われていた。すでに騰蛇が女神像を飲みこんでコバルトを取り出してくれたから、今のそれはただの無害な女神像」
実はこれを使ってやりたいことがある。
その計画を打ち明けたら、ダイバには心配された。しかし、これは私たちじゃないとできないこと。
「絶対に危険なことをするな」
「大丈夫。騰蛇と
騰蛇が体内にコバルトを取り出したことで、地中にあるコバルトをすべて取り寄せてくれた。そして、地上にあるコバルトの位置も確認してくれた。コバルト自体は無害だから、研究所や個人で所持していても問題はない。しかし、地上のコバルトもすべて回収させたいというのが騰蛇の望みだ。
「神の遣いの望みだからねぇ。あと、騰蛇とアラクネが管理するから。アヘン芥子の方はすでに神獣ベヒモスが管理してる。薬に使えるから、ベヒモスが無毒化してくれるって」
「そんなことが可能なのか?」
「ベヒモスの話では、元々観賞用だったのが地域の土壌か水質の変化で変異して広がったみたい。だから『元の観賞用に戻す』んだって。完全に無毒化はできないけど、調合で薬が作れる程度で中毒が起きるような強さはないって」
「じゃあ、エミリアが作ったのど飴を舐め続けても問題ないな」
「薬用でも飴だから太るけどね」
「…………ん?」
「ふ・と・る・よ。普通の人はね」
私の言葉に思わず腹部に手を持っていくダイバ。でもダイバは身体を動かす仕事のため太ることはない。
『ダンジョン管理部警備隊隊長』の肩書きは伊達ではない。ここ、ダンジョン
その間に、妖精たちは農園で遊んでもらうのだ。ダイバもいい運動になると鬼ごっこに興じている。ダイバがどんなに厳しいことを言おうと妖精たちに好かれているのは、自分たちに構ってくれるからだ。
ちなみに、段取りのいいアゴールはテントの中でその日の報告書を作成しているため、ダンジョンから出るとその足で都長へ提出して今は息子フィムと一緒に過ごせる時間を楽しんでいる。
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