第152話


屋台村に顔を出したら、まだイベント前にも関わらず、警備隊と守備隊が集まっていた。


「やあ。エミリア」


「お疲れさま。会議ミーティングしてたの?」


「ああ。先月のことがあっただろう?今回は取り締まりを強化しようって」


「これからひと通り買い物したら、家かダンジョンに引きこもるから。・・・あと、いつものように私の家の前、私服守備隊をお願い出来る?実は各地から集まるからだと思うけど・・・すでに店の周辺を彷徨うろつかれて迷惑してるの」


「エミリアを見つけて絡む奴がいるって報告があるが」


「ああ。今日のお昼ね。ランチ買いに行って、戻る途中で女性に絡まれたのよ。「いつになったら開けるのよ!」って。「商人ギルドのフレンド取引店に登録しないなら殺すわよ!」って言われたから「私、商人ギルドに入っていませんが?」って返したら驚かれた」


「ああ。それですね。エミリアに絡んで殺す発言したことで、今も檻の中です。期間中は奥の広場で『公開見せしめ』になります。中からは『石壁の牢屋』にしか見えませんが、外からは鉄柵の檻で丸見えです。声も、中にいると聞こえませんが、外へは丸聞こえです」


「あの人って貴族じゃないわよね?指輪が反応しなかったもん」


貴族排除の指輪をしているため、絡まれにくくなったはずですが・・・。


「ええ。豪商のひとり娘だそうですよ」


「豪商やその家族も排除対象にしないといけないかなあ?」


「『バカの侵入禁止』で魔導具を作って貰いましょうか。それをダンジョン都市シティの城門に設置すれば被害は減るのでは・・・」


「・・・バカが『自分はバッカで~す』って自覚してると思います?バカな奴ほど『自分はバカじゃない!』『壊れているに決まっている!』ってムキになって騒ぎますよ。それ自体が『バカの証明』だって気付かずに」


「・・・そこまでバカか?」


「バカでしょ?それも究極の。見世物見せしめ期間中に『盛大にやらかす』と思うよ」


私の予言めいた言葉に脱力されました。

すでに『やらかしている』そうです。


「なんで私が牢屋に入らなきゃいけないのよ!私のパパが誰か分かってこんなことしてるの!?あの女を呼びなさいよ!商人ギルドに入っていない商人なんて頭が狂ってるんだわ!そんなヤツ!パパが来たら一発で殺してくれるわ!」


「おーおー。ご自慢のパパを呼んであげたら?」


「もう呼びました。明日にでも到着すると思いますよ」


「私とは接触禁止で」


「すでに都長とちょうが部外者のエミリアへの接触が禁止されています」


さすが都長。先月の騒動を覚えているようで。


「じゃあ。今日見て回ったらダンジョンに逃げ込むわ。『出てきてからの接触』を妨害してね」


「ああ。とりあえず、父親が到着したら都長が説教しまくる・・・。どうした?」


「・・・アレ」


私が不快な表情をしていたら心配されました。そのため『原因』を指差すと振り向いてその場でしゃがみ込みました。


檻の中の娘は、下着姿で腰を振っていました。

ああ。『男を連れ込んだ』などではなく、ドレスを脱いで下着姿になって、コルセットをひとりで外そうと奮闘していただけです。

ベッドを向いているため、私たちには背を向けています。そのため腰を振っているように見えたのです。

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