第69話
「エアさんはこの部屋を自由に使って下さい」
そう言って開かれたドアの中は・・・『メルヘンの世界』でした。
窓には飾り用のカーテン。天蓋付きのベッドに
外観は見事に『カントリーハウス』なので、イメージにあわせているようです。
「この部屋は全体に『状態維持』が掛けてあります。ですから、このドアも窓も破られることはないので安心してください。すでに、アクアとマリンを使って実験済みです」
あの二人を使って実験してるんですか・・・。ですが、二人でも壊せないなら安心ですね。
「此処は『エアさんの部屋』として自由に使ってください」
「『私の部屋』・・・ですか?」
「ええ。この部屋はエリーの希望で作りました。そうそう。テントや収納ボックスのは使わずに、此処のキッチンも食材もいくらでも使ってくださって結構ですよ。もちろん『自分の分』だけを作れば良いです。ウチには『調理担当』がいますから、彼らの仕事は残してもらった方がいいので。もちろん、俺たちと同じテーブルで食べてもらってもいいですが・・・50人近い男たちが一斉に集まるため、
ちょうど学校の部活で合宿所にいるようなものでしょうか。まあ、此処はお酒も入るので・・・居酒屋で『どんちゃん騒ぎ』しているようなものでしょう。
此処へ来るまでに、様々な場所を案内されました。
テニスコート二面分の広さはある『鍛練場』。もちろん庭・・・というか丘や森もある広大な土地で広々と運動するそうですが、此処の天井や壁や床はダンジョン同様『魔法吸収』されているため、魔法を使った鍛錬に使われるそうです。
「エアさんの戦い方を知って、改めて戦闘による魔法の有効性を知り、魔法と武器を併用する戦い方を鍛錬する場になっています」
「エリーが『新しい職業にしよう』としているのですが・・・。どうも『神の許可』が下りないようです」
「・・・許可が出るはずないですよ。すでに『魔法剣士』という職業がありますから」
そう言ったら驚かれました。ですが、本屋のおばあさんがくれた『世界全集』という、各国の情報が載っているガイドブック&歴史書などが一冊になった図鑑の『様々な職業』というページに載っていますし、何より・・・。
「私の職業は『魔法剣士』ですよ?」
そう言ったら、鍛錬場にいた全員に「「「えぇぇぇぇ!!」」」と驚かれてしまいました。
はい。私は『称号:冒険者』で『職業:魔法剣士』です。
それを聞いて全員がステータスを調べましたが、魔法剣士の職業を持っている人はいませんでした。
・・・そのせいでしょうか。
皆さんから拝まれてしまいました。
色々と案内され、最後に食堂と厨房に案内されました。
食堂は50人以上が入るだけあって、結構広いです。6人掛けのテーブルが置いてあり1ヶ所に座面の高いイスが二脚置かれています。其処がアクアとマリンの指定席なのでしょう。
中央に作業台を置いて窓側にシンクとコンロ。やはり業務用と
「どこの施設でも自由に使い放題です。逆に足りないものがあれば言ってくだされば、出来るだけ早く用意しますよ」
「そんな・・・。自分で用意しますから」
「いやいや。エアさんが『欲しい』と思うものは、他の連中にも必要になるものでしょう。ですから、『一度に大量注文』すれば良いだけです」
私が興味を持ったのは『
ルーフォートの邸から貰ってきた本の中に『薬学書』が数冊ありました。
開いたら笑ってしまいました。
だって『回復薬(小):水+薬草』『回復薬(中):水+薬草+薬草』『回復薬(大):水+薬草+薬草+薬草』というものでした。ちなみに『回復薬(中):回復薬(小)+薬草』『回復薬(大):回復薬(中)+薬草』でも出来るそうです。
・・・何処のゲームですか?
さんざん遊んでいたため覚えている『ゲームの調合レシピ』を使ってみたいです。
「そうそう。エアさんが興味を持っている『
祝福を受けると、どんな薬でも効果が5割から8割増加するそうです。
『回復薬(小)』を作っても、効果は『回復薬(大)』から最高の『回復薬(特)』になるそうです。
不謹慎ですが『ゲームみたい』って思ったのはナイショです。だって、誰もが祝福を受けたくて日夜努力しているのですから。そんな彼らを侮辱するようなことを口にするようなことは出来ません。
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