第614話

 簡単に言えば、彼については死ぬ前から多少干渉できたからね。情報はすでに手に入れていたよ。

 素質としては……まぁ種馬としては優秀だったかな。それ以外はまぁ普通の人間。特出した能力はこれといってないかな。

 んで、彼の骨あの家に置いてあったわけだけど。彼女の意識がに向いた瞬間くすねちゃった♪

 で、元々彼の肉体の情報は取れていたけど、骨からも実物の情報を手に入れて、完璧にできるようにはしてあげたんだよねぇ。

 なんのための再現かって言われたら、そりゃ彼女たちが喜ぶからね。存在してるだけで。

 でも、存在してるだけじゃ私のほうが詰まらない。

 だから、彼女たちの干渉を受けやすくするために彼が産まれたときに彼女の細胞も少し混ぜ込んだよ。ご先祖様にはもうすでに彼女の細胞は持っていたけど、改めて直接ぶちこんであげたよ。

 まぁでも、そのせいでラビリンスと呼ばせてるマナの通り道が細かく複雑になっちゃって……しかも、システムの干渉も多少許してしまったし、弱い個体になってしまったのがねぇ。残念だったよ。

 でも、彼女たちの存在は彼を欲しているから。繋がるだろうと思ってたよ。細胞そのものもぶちこんでおいたし。

 だからまぁ、彼の再現自体は結果を見るに、そこまで失敗ではなかったかな。

 いや~大変だったのはむしろ別の再現かな。

 例えば……星の再現とか。

 うん。昔話と今彼らがいる星は違うところよ。あ、いや。今は昔と同じか。

 簡単に言えば、今の彼らがいるのは私の星庭はこにわで再現した星。紫で辿れたのは私が産まれたあたりだから紀元前数百年程度。そこまでは完全再現できたはできて、新たな彼女の個体も再現ができた。

 で、そこからは再現でなく改良の時間。

 例えば、彼女は隠れ住んでいたけど。彼女の細胞によってもっと強く、たくさんの鬼の形状をした生き物たちが産まれて。その子らを率いて鬼の国を作り、そして人間のまま化物と戦える神秘殺したちと戦争するように仕向けたりだとか。

 あ、ちなみに彼女たちだけでなく、妖怪だとかそういうのもいっぱい産まれたから。そういうのも狩られてたよ。まったく。お陰で現代に至るまでこの星庭には人型の生き物ばかり残っちゃった。

 いやね? 強ければいいんだよ? でも、彼女たち鬼だとがの強い個体なんて別の星……まぁあれは元々花菜ちゃんの産まれた星で、いじりまくってわからないようにして、システムの干渉で彼女たちに害が及ぶ前に移り住ませたんだけどさ。

 江戸までは幻の花街とかの商いも許してたけど、干渉が激しくなってきて絶つ羽目に。

 それで、今のあの星からは魔帝とかいうゴミ個体が持て囃される程度に落ち着いちゃってさ。嫌になるわ。

 まぁでも。紅緒ちゃんみたいな意図せず産まれた最高のバグや、彼の存在があったから捨てる気にもならなかったけどね。

 ただ、干渉のせいで召喚魔法が弱い扱いされたのがなんともね……。

 あれは相性の良い彼女の細胞から産まれた個体同士を繋げるために作ったのに……。劣等種扱いされちゃって目指す個体は減るわ彼がいるから他の星に拠点を移すこともできないしさ。

 でも紅緒ちゃんのお陰で好転し始めて嬉しかったよ。彼も諦めずに召喚魔法師を目指して彼女たちに出会ってくれたしね。

 ふふ。ふふふふふふ。ふふふふふふふふふふっ!

 続けて良かったよ!

 で~……なんだっけ?

 他に聞きたいことは――。


 煙魔神薙羅という個体が何故、あいつのことを知っていたかがまだ腑に落ちんぞ。


 お、おいおい。嘘だろ? 何故君が私の語りを聞けるんだよ――リリンちゃん

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る