第613話
彼女たちの残骸は私が回収したの。
あれの不完全とはいえ蛹から孵ったやつの干渉を受けた個体。しかも自力のバグ持ち。
そんなの貴重すぎて死んだままとかもったいないでしょう?
だから私が使うの。
死んだあとでも存在としての力は残ってるから物理からの干渉も必要だったのがネックだったけど、直接出向いたよ。それくらいほしかったし。
そして私の紫の中にし舞い込んだんだけど。今思えばもう少し慎重になるべきだったかな。
死んでるのに私の干渉を拒んで、無理矢理飲み込んだから少しばかりこっちが侵されちゃってさ。お陰で強めの縁ができちゃって少しだけ焦ったね。
まぁでも当時の私は気にしてなかったよ。何せ、天然モノの超越者の素材を手に入れたのだから。嬉しくて嬉しくて。久しく忘れてた感動を覚えたほどよ。
で、残骸を何に使ったかだね。気になるのは。
まず、細胞レベルで彼女たちを
その中で遊び心で多めに撒いた世界がいくつかあるんだけどさ。
それがまずリリンちゃんの世界。少しだけ時間がかかったけど、彼女の細胞からとんでもない化物が産まれてくれて嬉しいよ。
そして、ロゥテシアちゃんの世界。これも何世代もかかったけど、無事強い素質を持った個体が産まれてくれた。
ただ、あの子の場合多めに割いたのは娘のほうなんだ。彼女四に対して娘六くらい。だからかな。彼は性欲を抱きづらいみたいで、愛ではするけどそれ以上がなくて残念。
可愛いとか綺麗とか誉めたり、撫でたりしてスキンシップとったりして照れたりしたけど。でも、恋愛的な、性的な意味でなく。ほんのり残った娘としての本能が父との触れ合いで高揚しちゃっただけみたい。残念残念。
で、コロナちゃん。この子はつい最近ね。
この子には純度百パーセントで娘のほうを多く割いたよ。
お陰で
ただ、自らの力に耐えきれないみたいでいつ死んじゃうかとヒヤヒヤしてたけどね。
成長する前なら閉じ込めればなんとかなるかなって思ったけど、星ごと焼き潰されちゃった。ま、それで彼のとこにやる決心がついたとも言えるけどさ。
ゆっくり熟成するつもりだったけど、結果的に彼女たちの力で大分制御できるようになったし。良かったなと思うよ。結果オ~ラ~イ。
ま、だからあの子は彼にあんなに懐いてるわけ。娘だからね。
で、最後に花菜……神薙羅ちゃんについてか。彼女は少しばかり特殊なんだよねぇ。
それに、彼についても気になるでしょう? 昔話に出てきた彼は死んでいて、今の彼とは似てるだけで別人なんじゃってそう思うでしょう?
ふふ。ふふふふふふ。ふふふふふふふふふふっ!
そんなわけないじゃない。
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