第591話
さーて、と。はっきり言ってこれから彼の学園生活にドラマチックなことは起きないんだ。週五で彼女のところ通ってしっぽりかますだけ。
一応結嶺ちゃんが同じとこ通い出したりだとか。
故あってメイクアップすることになった夕美斗ちゃんを見てマイクくんが惚れちゃって告白からの撃沈だとか。
なんでも、紳士的な人がタイプって言っちゃったんだよ。それで頑張ったんだけど母国に帰ることになってって感じ。二人ともこの先は普通に結婚して普通に生きていくことになるよ。
あ、ちょっと脱線しちゃったかな。話を少し戻しまして週五日なのは金曜は泊まるから。で、金土日ぶっ通し。でかけることもなくただただ子作り。避妊なしで。
代わり映えもなく。爛れた若者と老婆のまぐわいの前後なんて全部似たようなのだから語っていてもつまらないんだよ。
行為そのものはそりゃ色々あるけれど、傍観者諸君淑女には早いかもだからね。残念ながらというかやはりというかお預けだ。
そんなこんなで大幅にぶっとばさせてもらうよ。
けれどどこまで飛ばしたら良いものか。目玉となるとこまで飛ばすのも良いけれどそうなると半世紀と二十年は飛ばさないといけなくなる。それはちょっとここまで見せておいて風情がないなと思うわけだよ。
でも……あんまりモタモタしてると彼女がちょっかいをかけて来そうだし。うん。とりあえず二年ほどにしておこうか。
二年後の……そう。悪友との一幕あたりから入ろうかな。
これは少し、切ないから好みなんだ。
「――あれ? どしたん?」
「げ。忘れ物」
放課後。高校三年生の三学期も終盤ともなれば残ってる人間なんてほぼない
「おい今余計なもん挟んだだろ。嫌か! そんなに私が嫌か!?」
「別にそういうわけじゃないけどめんどくせぇとは思ってる」
「ふんだ。こっちだって…………こっちだって……」
「……?」
(なんなんだこいつ。相変わらずわけわからん)
「ねぇ。もうすぐ卒業なわけだけどさ」
「ん? あぁ」
「まだ関係続いてんの? 例の彼女と」
「……まぁ、変わらず」
「ちぇ。なーんだ。もし振られてたら慰めてやろうかと思ってたのに」
「お前が? どうやって」
「体で♪」
「いらん」
「はっはっはー! やっぱそうか。そう言っちゃうんだ」
「あ?」
「いや、良い意味で変わらないなって」
「どういう意味だよ」
(……なんか、変だな。ウザ絡みはいつもだけど)
(とか思ってんだろうなぁ~。そんなだから――)
好き。なんだよね。伊鶴ちゃん。
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