第554話
「
「なんて?」
「んくん。ところでなんだけど、天良寺君は冬休み旅行に行ったと思うんだけど」
「……何で知ってんの?」
「親戚がやってる旅館? ホテル? 旅館風ホテル? だから」
「あーね」
(薄々わかってたけど。やっぱ有耶無耶になんなかった……)
若干変態男子思考が混じったラブコメを見せられて終わるわけもなく、追及の時間だぁ~。
とはいえ、彼もまぁ和宮内って名前に気づいてから覚悟はしてたみたいだし平気そう。
「驚いた。休暇中の予定知ってるなんてこうストーキングでもしてるのかって思っちゃったよ」
と、安堵してる友人Aことマイクくん。
安堵してる理由は……ま、そういうこと。
「私もついさっき聞いたんだよ。親戚からチャットが来てさ。あっちで色々とあったから様子見てきてーって」
「色々と……って、わざわざそんなこと聞くとかなにしてんだよ~。えぇ? 壺でも壊した?」
「なんも壊してねぇよ」
いやあながち間違いではないんじゃないかな? 壊してるってほら。にk……は言い方悪いか。みt……も言い方悪いな。う~ん。日本語難しい。
「じゃあなにしたんだよ」
「……別に」
「え~? じゃあなんでこの彼女がわざわざランチ誘いにきてんだよ。俺たち友達だろ? な? 話せよ。ほら、早く」
「うるせぇな。別になんもしてね――」
「ちなみに私は聞いてるから。君がナニしたか」
「………………………………」
さっきまで落ち着いていたし、悪友のうざ絡みにイラつく余裕もあったけど。うん。一瞬で消し飛んだね余裕。
今はもうね。どんなことを言われるか。主に糾弾されるか気が気じゃないよね、彼。学食だから人目も半端ないし。公開処刑もあり得るってなればご飯は喉を通らないし冷や汗ダラダラだよ。
冬なんだから風邪引かないようにね。
「簡単に言うと……うちのおば――親戚とたまたま会って相手してくれたみたいでね。改めてお礼がしたいんだってさ。あの人はちょっとうちの親戚間じゃ特別だから。箱入りというかなんというかね」
(あれ? そのまんまは話さないのか)
と、心配は杞憂に。恐らく誤魔化してくれたんだなと察する。
いやまぁ普通に考えたら言えないって。親戚が目の前の男に強○されましたーとか。昼食時に。というか食べながら。
で、まぁとりあえずは目先の危機は去ったのでね。彼は彼女の言葉が詰まったとこに注目をするわけさ。
「……おば? あぁ、叔母(または伯母)?」
「……まぁ、そんな感じかな」
(三十だかって話だし……まぁ、そういうこともあるか)
うまーく噛み合ったもんだね。
いや本当面白いよね。日本語。韻踏みやすくてさ。
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