第502話
男女七歳にして席を同じゅうせず。という言葉はあるものの。昨今といえば時に性に厳しく。時に性におおらか。
その時々で変わるものの、いつだって厳しくならざるを得ない状況とは存在するもの。
如何に事情を知っていようとも、だ。
そう、例えば。身内のことであったりだとか。
「これはいったいどういうことでしょうか兄様」
「あ、結嶺。おはよ」
「おはようございます。あいさつは大事ですね。済みました。ではご説明をどうぞ」
「どうぞって言われてもなんのことやら」
俺にはサッパリですね。寝起き姿の兄を見て不機嫌になる妹の気持ちなんてわかるわけないじゃないですかーやだなーもう。
「なにを指してるか説明が必要ですか? なら懇切丁寧にしてさしあげますけれど」
「いや、良い」
逃避は無理ってことね。はいはい。
昨日から色々と話をして俺のことも多少わかってくれたとは思う。でも、実際目の前で起こると違うものなんだろうね。感情優先になると言うか。
加えて、たぶん想定したこと以上のことが起きてれば尚更だろうよ。
「あれだろ? 朝起きて俺のとこに来てみたらこんなんだから怒ってるんだろ?」
「よくお分かりになられましたね」
そりゃあ兄の男女の事情に敏感なとこを何度も見てれば察するくらいはねぇ~。
俺としてはいつも通りの雑魚寝でも、結嶺からしたらショッキングな光景。男女比俺に対して五人だもんな。
二人はガキだけどコロナは発育が良いし。実年齢は結嶺は知らないけど俺たち換算で二十歳だし。
ロッテも普段は犬のことが多いけど何故か今日に限って人型だし。
しかも――。
「ん~……もっと激しく……」
リリンまでも今日は俺にへばりついて寝てやがるしね。寝たのはついさっき結嶺の気配がしてからだけど。
「……昨夜はお楽しみだったようで」
「なんもしてねぇよ」
「別に良いんじゃないですか? リリンさんとは関係をお持ちでしょうし。……子供のいるとこでなければお好きなように」
「……おい。俺が爛れた性生活を送ってると思われたじゃねぇか。さっさと離れろ」
「あん。DV」
「ふざけんな」
「クハハハ」
やっと寝ぼけたフリをやめたか。クソめ。
いくらこっちにいるときが暇だからって俺たちをからかうんじゃねぇよ。
「おっと。おい。はだけた。貴様も着替えるだろ。ついでに我のもやれ」
「ん、んぉ~……」
からかうのをやめたのは良いけど、今度はたまたま足元にいたカナラを踏み踏みし始めた。
こっちはまだ寝てるんだから優しくしてやれよ……。
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