第501話

「生き物って不思議ですよね。遠い国でも同種は似たような進化することがあるんですよ。まぁ、蜂で言えば日本の蜂が凶悪過ぎて他の国に比べてやっばぁーって事例もあるらしいですけど。あとは針がなくなったり。そんな違いがでることも。そういうのは環境に適応したからなんでしょうね。あ、そういえば蟻と蜂って近いらしいですよ。知ってました? これもどっかで分岐したんですかね」

「そう、なんだ? 知らなかったよ」

「でも、面白いことに顎か毒針が強くなることが多い。大きな群を持つことが多い。そういったなにかしらの共通点を持ってるんですよね」

「えっと……なんの話? 急に生物の授業?」

「私たち人間だって変わらないです。ほとんどが頭を良くするように進化してます。ここ数百年では魔法うんぬんが伸びてますって話。進化の授業です」

「……」

 まだいまひとつピンと来ないけれど。少しずつ言いたいことがわかってくる。

「なにが原因とか。どうしてシンクロニシティが起こるとか。そんなことは考えても無駄なので省略しますけど。原因がなんであれ進化という結果は訪れますから。今までは割りと控えめだったんですけどね。規模とか数とか。うちの大婆ちゃんとかの世代は凄かったみたいですけど。今回ほどではないでしょうね。特にマイクくんは強く影響がでますよ。良かったですね。度合いによっては人類やめれますよ。もう視力は人間とは思えないですけど」

「……正直内容がブッ飛びすぎててついてけないんだけど。とりあえずなんでわかるの?」

「私は先に進化を経験しているごく一部の人類の直系なので。少し感じやすいんですよ。繋がりとか予兆が」

「なる……ほど。それが本当のことなら喜んで良いのか悪いのか」

「……? なにがですか?」

「いや、努力で身に付けたかったというか」

「同調だとか混ざったりだとかしてるのに今さらだと思いますよ」

「それもそうか。僕らみたいなちっぽけな人間はそのあたり気にする必要もないか」

「そうですよ。流れに任せるしかないことも多々あるってことです」

「……ところでなんだけど」

 話が一段落してそろそろ再開しようというところで立ち上がる。

 その際、最後に一つだけ八千葉に質問を投げかける。

「なんで色々話そうと思ったの? なんか、隠してそうな雰囲気あったけど」

「あぁ、別に大した意味はないんですけど……そうですね、強いて言うなら」

 八千葉も立ち上がり、頬をかきながら答えを述べる。

「隠すのも無理になるでしょうから。だって、全人類がマナに敏感になるでしょうし。何より、私のお友だちさんたちはかれの影響で私のことも勘づくようになるでしょうから」

「ミス八千葉のこと? 血筋とか? 実力とか?」

「そんなとこです。では話は終わりにして、続けますか? 帰りますか?」

 次に問うのは八千葉のほう。答えはわかっているけれど一応聞いてみた。

「もちろん続きをお願いするよ」

「わかりました。ではどうぞ」

 その声を合図に、マイクが八千葉に襲いかかる。

 当然軽々いなされるが、先程よりも八千葉の動きに慣れていて紙一重な瞬間も増えてきた。

(さすがに勘が良い。正直、さっき切り上げたかったなぁ~)

 その後二時間弱。マイクに付き合わされる八千葉であった。

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