第500話
(おかしい……)
演習場の使用許可を得て、軽く魔法を使っての組み手を始めた二人。
手を合わせるにつれて、マイクは違和感を抱き、徐々にソレ大きくなっていく。
(試合はいつも
「もう、そんなにガツガツしないでくださいよ。まだ休みボケしてるんですから」
(こ、こんなにも……)
運動神経。その素質で言えば才という人類の例外を覗けば少なくとも魔法師を目指す同年代の中では夕美斗や人域魔法師側の結嶺、きさら、
むしろ、魔法の素質を抜けばトップと言っても過言ではない。
そんな彼が、契約者を抜きにした八千葉に――。
「はは……すご」
軽くいなされてしまっている。
(最初は軽い打撃だけだったけど、タックルや組みも織り混ぜてもダメ。となればさすがにわかるよ)
「……隠してたの?」
「何がですか?」
「とぼけないでよ」
「あー。別にそういうわけじゃないです。そりゃちょっとは抑えてた部分もありますけど。何よりインフレが進んだのが大きいと思います。たぶん。動くんでしょうね。あの……ヒト? たち」
「……? どういう……」
「それに、気にしなくて良いと思います。私のは両親というか、ご先祖様の名残みたいなものなので。先祖帰りした両親の残滓が私にも来ちゃったみたいな?」
「は、はぁ……」
言葉をかわしながらも軽い打ち合い……いや、マイクが攻めて八千葉が一方的にかわしていくのをやめない。
一応。自主連中ということで。
「でも、マイク君は違うみたい。残りカスが移ったって感じがしないし。まだ影響が出てないだけで。私よりも濃く出そう」
「あ、あの……さっきからなに言ってるかよくわからないんだけど」
「……少し迷いますけど。まぁ雑談のネタとしてちょっとお話しましょうか。休憩も兼ねて」
「う、う――うわぁ!?」
守り一辺倒から転じて足を引っかけてマイクを転ばす。
それから自分もその場に座り、先程の続きとばかりに話始める。
「マイク君って目が良いですよね」
「え? うん。まぁ。人並みには」
「ちなみに視力はいくつです?」
「えっと……前に測ったのはかなり前になるから今はわかんないけど、両方とも7.6だったよ」
「……ギネスかなんかの話してます?」
「今の視力のギネスって13くらいじゃなかった?」
「その記録保持者は人間なんでしょうか?」
「さぁ?」
「まぁ良いです。実際目が良いかとかは問題じゃないですし。マイク君の場合暗い場所でも空間把握できるのもあるし」
「そうだね。その特技というか魔法は昔から得意なんだよね」
「目が良いのもそれが影響してるかもですね」
「どうかな? 目が急に良くなってきたのも最近だし。入学前は5だったよ」
「いや十分すごいんですけど。どこの部族ですか」
「ご先祖様をたどればどっかの部族ではあると思う」
「ちょっとセンシティブになりそうなんでその辺りからは離れますけど。なるほど。ではマイク君もインフレが進んでるんですね」
「インフレってなんの?」
「人類の進化……ってところでしょうか」
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