第499話
「~♪」
新しいヘアスタイルに変え、学園へ戻ってきたマイク。
かなりド派手な頭になり、紳士とは程遠い見た目になっているのだが、本人は満足げ。
ご機嫌な様子で寮内の売店の前まで来ると――。
(あれ? あの後ろ姿は……)
「やぁやぁミス八千葉。君も戻って来てたのかい?」
「……! あ、あぁマイク君ですか。えぇ。親戚の集まりもあったんですけど、どうにも空気が肌に合わなく――みぎゃぁあ!?」
マイクの見た瞬間。大声をあげる八千葉。
それはそうだろう。だって友人の頭が――。
「ど、ど、ど、どうしたんですかそれ!? 年明け前はそんな……」
「あーこれかい? つい数時間前こっちに戻ってきて、学園に来る間にふと美容院に立ち寄ってやってもらったんだ」
「直近!?」
「どうだい? 結構イメージ変わったと思うし、自分では気に入ってるんだけど」
「……」
(そりゃイメージ変わりますよ。白黒茶に染めて前から三本の編み込みを後ろにやってたら……)
そう。マイクは髪を三色――三毛猫色に染めて、さらにそれぞれの色で一本ずつ前髪から後ろに編み込んでいた。
前までは綺麗に整えていたとはいえ、これといってド派手にしていたわけじゃない。なんなら染めてすらいなかったのでこれは衝撃。
「やっぱりあだ名で
「そ、そうなんですかー。い、良いと思いますよー……?」
しどろもどろになりながらも社交辞令を述べる。
八千葉からすればファンキー過ぎてよくわからないし。そもそもファッションにそこまで興味がないので、この答えが精一杯。
(ひ、人それぞれ趣味趣向はありますしね。私も詳しくないし。無難に無難に)
「本当に!? いやー思いきってやって良かった良かった! さすがに派手過ぎないかな? って思ってたから内心少し心配で」
「えー。よくお似合いですって~」
(派手な自覚はあったんだ……)
八千葉の気持ちと行動が功を奏してマイクの機嫌もさらに良くなる。
「――っと、それよりも。今日は暇かい?」
「それよりって……まぁ暇ですよ。特にやりたいことはないですね」
これは紛れもない事実なのだけれど。この返答をしたことで少しばかり八千葉は後悔することになる。
「あ、じゃあ少し付き合ってほしいんだ。自主連しようと思ってたんだけど冬休みで相手がいないことうっかり忘れてて」
「え、あ、はい。大丈夫です」
(しまった。マイク君はストイックなんだった……。優しい人ではあるんだけど人が必要な訓練ってなると恐らく……はぁ、もう言っちゃったし仕方ないか)
「ありがとう! じゃあ演習場の使用申請しとくからまたあとで!」
(やっぱりそこそこ本格的なのかー。ダルいよーやりますけどもー)
「はい。わかりましたでは、またあとで」
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