第483話

 ――と、完全に勢いと成り行きで二人きりにさせられたわけなんだけど。

 ふむ。どうしたらいいんだろうか。

 普通に出るつっても結嶺と一緒ってわけにもいかないし。

 今でさえ体にタオル巻いて鎖骨あたりまで浸かってるのに。

 となると俺が先に出るのが無難。

「じゃ、俺先に出るから」

「……っ。ダメです。なに言ってんですか」

「いや別に変なことは言ってなくね?」

「今、女性陣が着替えをしている最中なんですけど? もろに見ちゃうじゃないですかっ」

「もう全員の裸見たことあるし気にするようなことじゃ……」

「私の立場からすれば兄が幾人もの異性の裸を見るというシチュエーションになるわけなんですせど。逆に私がだ、男性の、何人ものあ、アソコとか見てたら嫌じゃないですか?」

「そりゃ嫌だけど。そっからナニもしないなら別に」

「そうであってもナニかしそうな兄様はダメです。数分もすれば終わるでしょうから待っててください」

 ひどい。兄をそんな風に言うなんて……。

 そら女に囲まれた生活をしてる上にそのうちの一人孕ませてたら信用されるわけもねぇけど。

「はぁ……。まさか兄様がこんな風になるなんて……」

「そう言うなよ。こうなったお陰で俺も魔法師目指せてるんだから」

「……なまじそのへんのプロより強いじゃないですか。なんならもう魔帝の方々よりも先へ進んでしまっているのでは?」

「いや、少なくとも学園長は俺よりヤバい。リリンやカナラでもちょっと手こずるかも」

「そ、そんなにですか……。ってことは艶眞さんも相当なんですね」

「あれ、あいつのことはそんな知らないんだっけか」

「あまり」

「そうか……」

 あいつの強さの良い例え……。ふむ。

「俺の完全な主観だけど、ロッテ以上リリン以下。リリンのこともそんな知らないだろうから軽く触れると本気だしたらロッテが十匹いてもなんもできない。てか、数の問題じゃない」

「ワールドエンドですものね。規格外過ぎてイメージすらできませんよ。世界破滅規模とか」

 まぁそうだな。度々数十メートル数百メートルとかで影使うけど。そんなもんじゃないもんな。星単位とか。

「あんなに強くて。それにとってもお綺麗で。妬ましさすら湧きませんよ。あの方々には」

「お前も負けてないと思うぞ。見た目は」

「おべっかは結構です」

「いやほら、胸とか」

「……フン!」

「ぶふっ」

 い、今のは完全に俺が悪かったとは思うけど。顔面への膝蹴りはいかんだろ!?

 痛くはないけどやっぱ人としていかんって!

「フン! フン! フン!」

 あ、こら。激しくするな! み、見える! てか見えてる!

 タオルの内側見えてるぞ! それは良いのか妹よ!?

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