第475話
「……えっと、それでお話とはなんでしょう?」
うんうん。
兄妹共々改まることになったんだけども。そんな重要な話があるのか?
まさか、俺たちのことを結嶺に言うつもりか?
俺たち……っていうか主に俺のことになるけど。
「まずは我らの関係から軽く触れようか」
あ~……やっぱそこなのか。引き込むってのはわからないけど灰音のことを誤魔化せないってなると話すしか……いや待てよ。別に俺のこと話さなくてもただリリンとヤったことだけ言えば終わるのでは?
ん~……。そう考えるとこいつらの意図が読めん。俺の知らないとこでまたなんか起きてんのかなこれ。
「貴様、召喚魔法師については一般的な知識しかないよな?」
「えっと……そうですね。夏休み明けから色々と調べましたけど。大した成果はありませんでしたし」
へ~。そんなこと調べてたのか。
まぁ、世間の評価と比べて伊鶴とアレクサンドラがやらかしてたし。そのあとも交流戦で激闘繰り広げるグループもあったから気になってそれくらいはするか。
「だろうな。じゃあ我が知りうる召喚魔法ってのを説明してやろう。あのあとからまた色々とわかったことだし」
「どのあとだよ」
「お前はまだ知らなくて良い。まずは聞いてろ」
さいですか。
「召喚魔法というのは異界から縁あるモノを引き寄せてマナを与えて代行してもらうと思わされているが、よく考えてみろ。なんでその程度の代償で我らが手を貸さねばならん? 時に命懸けを強要されるというのに、何故だ?」
「まぁ、たしかに」
「そういうもの……という認識しかありません」
リリンの場合は興味とか俺のマナが心地良いからって明確な理由があったから特に疑問に思わなかったけど。他のヤツらも同じってわけにはいかないよな。ハウラウランみたいに知能がそこまで高くないのもいるわけだし。頭が良くても微量のマナで手を貸してくれるのはたしかに不自然。
「縁あるモノを喚ぶ。そこまでは間違ってない。問題はそのあと手を貸さなくてはならないと楔を打たれるんだよ。洗脳……と言えばわかりやすいだろう?」
「「……」」
それはまた……大変なことを聞いてるような……。
俺と結嶺が二人して絶句するくらいにはとんでもない。
「そして手を貸すなんてのは正直どうでも良いんだよ。問題はその先。無意識ながら半ば無理矢理育まれる信頼、信用、絆。そういったモノがもたらす。至らせるのはナニか。同調と簡易的な存在の融合。概念の相互侵食。我らが才としていることであり、他の召喚魔法師もやっていること。今の種族から別のナニかになることをしてるんだよ」
「それ……って」
「あぁ。才は既に人間じゃない。別の生き物なんだよ」
「――」
……そんな目で見るなよ。
そんな感情も思考も一瞬でぐちゃぐちゃになった目でさ。
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