第457話
「……おっしゃることややりたいことはなんとなくわかりました。けど、それってどういう形でやるんですか? 契約者以外の世界に行くにはかなり法的な制限があるんですけど」
本来ゲートを開くにはかなりのマナが必要。政府主導の異界探索もそう気軽には行えない。
召喚魔法師が軽々ゲートを開き、その先へ特にリスクもなく行ける方が世間一般的にはおかしいとされている。
ならば研究もされているかと思えばそうでもない。何故なら進歩と進化の抑制を受けているから。
アノンがどうにか少しずつでも進むよう色々と手を尽くしてはいるものの、この五百年進展はほとんどない。星庭で資源供給がやっとといったところ。
だから、アノンの星庭での訓練。探索。派遣。そういったことは容易ではないし、人類の一大プロジェクトレベル。紅緒は立場上それが嫌というほど理解できている。
召喚魔法師や学園の生徒と絞られていればどうにかなるが、アノンが言うには素質がある者で。この中でアノンとコンタクトを取りつつ人を集めるのに適してるのは紅緒。
なので召喚魔法師以外も紅緒が管理し、星庭へ送らなくてはいけないのではないかと思ったのだけれど。
「その辺りは心配しなくて良い。正式な政府からの依頼としてやってもらう。ほとんど私が掌握してるから」
「え、あ、そう……ですか……」
紅緒の心配は杞憂に終わる。
「そもそも今探索させたり資源回収させいる星は全部私が用意したものだしね。少しばかりそっちに回すのもわけないよ」
「なるほど……」
「ただ、召喚魔法師だけのために用意するのは無理。今の召喚魔法師のイメージではね。だから色々と手回しは必要なのさ」
「無理とはまた。貴様に似合わない言葉だな」
リリンからすれば、一時的でもこの空間を支配し、未だ才とカナラを昏睡させているような化物。
そんなアノンが政府や世論を制御できていないのが理解できないのだ。
「今が特別なんだよ。私は常に
壮大すぎて、漠然としすぎていて理解できない規模。それを元は人間なのにやっているのだからよくここまで自我を保っているものだと感心するべきだろう。
「それにもしそこまで細かく誘導できるならこうやって話に来てないさ。私にも余裕がないから少しだけ負担を強いてでも先を考えて君たちを引き入れたほうが良いと思ったんだよ」
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