第397話
「「「…………」」」
ミケの試合。意外と面白かったな。
あいつ……ジゼルも随分器用にマナを色んなモノに変えてたし。
ただちょっと火だけよりも燃費が悪そう。
他のに変えるとき最初の一回目出力に少しばかり負担があるみたいだな。
あ、だから今まではミケのマナを考えて火だけにしてたのか。
体のほうも戻るとそのぶんマナも食うみたいだし。小さくなってるのは省エネのためみたいだな。
いや~。八か月クラスメイトしてるけど、その相方にも新たな発見があるもんだなー。
そもそも他の奴らはつるんでることも多いけど俺だけ外れてることが多いから。同性のミケとさえあんまり絡んでないんだけど。
ま、んなことよりも……だ。
「なぁ、リリン」
「ん?」
「アレ、盲点じゃね?」
「そうだな。我らは影もあるし。歩みこそすれ、留まる事はしとらなんだ。まず戦闘の
「私は煙の上に立てるよぉ~」
細かく言わなくても通じるか。さすがに。
あの猿がやってたこと、やっぱお前も気になるよな。
そしてカナラ。お前は別の猿じゃなかろうな?
「って、よく考えたらお前はよく止まってんだろ。影だけ動かすかその場で出方をうかがうなんてザラじゃん」
「まぁな」
一目である程度の力量がわかっちまうとしても、そいつの能力やマナの使用法はわからない。
だからこいつ、あえてその場で立ち止まって受けに徹するとか普通にやりやがる。
まぁ余程力の差がなければやんないけど。問題はほとんど近い強さを持つのが学園にいないことだな。
俺も大分変わったし、さらに他の
おっと、思考が脱線しちまった。話を戻そう。
「にしても、結構わかりやすく見せてくれたな。あれじゃカモられるのもわかるわ」
「隠す素振りがないのではなく。隠す技術がないんだろうな。アレだけでも大概の生物からしたら難儀するだろうから、仕方ない」
「
なるほどね。ミケも最初は見切るの苦労してたみたいだし。成績上位ってことを考えるとあのやり方で結構勝ちを拾えたんだろうな。
生物的にも弱くはないからそのままでも大概のヤツには勝てるだろうし。
と、猿の考察はこの辺にしてっと。
「とりま、帰ったら試すか」
「帰らずとも試せるだろ」
ん。こいつ、よく見たら座りながら少し浮いてるな。
その場で試すとか帰らずともにも程。
「そら、手を突っ込んでみろ。歪みを肌で感じると良い」
「じゃあお言葉に甘えるか」
リリンのケツの下に手を突っ込んでみると……かなり抵抗力あるけど中心部まで入れたな。
あの猿のとは違ってリリンがめっちゃ歪みを調節してるみたい。マナの巡り方が俺の手に会わせてミクロン単位で変わってやがる。器用すぎるわ。
すげぇ繊細だけど、たぶんこれ俺の手が入れるスペース作ってるからだろうな。単純な足場とかなら俺でも全然作れそう。
てかもう足に五ミリ程度の足場作ってるし、カナラもほんの数ミリだけ浮いてるからリリン同様ケツに作ってるんだろう。
見てすぐできるあたり、カナラもカナラで器用だよなぁ~。
「んっふ」
「……」
と、リリンとカナラに感心してると手に柔らかい感覚がー。
なんと俺の手がリリンのケツの下敷きにー。
び、美少女のお尻すごい柔らかくてあったかくて俺の男の部分がー。
……なんだこの茶番。内心でも虚しいわ。
「で、なにやってんのお前」
「すまんすま……んっ。難しくて失敗してしまったっ」
息あらげながらケツこすりつけやがって。この野郎。
「嘘つけ」
「おうふ」
あまりにもあからさまだったもんでそのままケツを持ち上げてひっくり返してやる。
前の席に人がいなくて良かった良かった。
お陰でケツが真上に向く滑稽な姿を拝めたよ。
「ほら、もう試したしやることねぇし帰るぞ。は
よ起きろ」
「ん……っ。ぁんっ。お、お前、非難する割りに尻をペチペチと。触りたければ恥ずかしがらずとも好きなだけ揉みしだけばよかろうに」
「フン!」
「ぐっふ!? ぁ~……」
戯れ言宣うからついカカトがでちまったわ。
さすがのリリンもマナを込めたカカト落としは堪えたらしいな。すぐ起き上がってケツ擦ってるわ。
「さて、これで……ん?」
「……」
視線を感じたから目を向けると……カナラが頬を赤らめてこっちを見てきてる。
まさか……とは思うまい。
「羨ましそうな、物欲しそうな顔すんな。帰るぞ」
「う、うん。……ところで坊」
「なに」
いくら熱っぽく見られてもお前のケツまでは触んないぞ?
「江戸では尻を触るのがお誘い、ナンパの作法らしぃよ?」
「……」
それを聞いてどうしろってんだ……。説明が足りねぇよ。
あれか? 自分をナンパしろってか?
この前はあと二年待つとかなんとか言ってたくせにこの女は。
もう良いや。このスケベ二人はほっといて帰ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます