第398話
「ただいま」
「ただいまぁ~。ろうちゃん。ころちゃん。かいんちゃん。ええこにしとった?」
「さて食い物食い物」
俺とカナラが律儀に挨拶してるってのに。リリンと来たら帰って早々ポテチとチョコをわしづかみにしてやがる。
まぁいつものことだから良いけど。ホットチリ味とハニーキャラメルクリームが入ったチョコって合うのか?
……いや、こいつの場合味覚を分けるくらいはできるか。
「おう。おかえり」
「にゃーにゃー」
「……ふぁ。やっと解放された。助かったよ我が父」
返答と共に灰音を放り出して俺に抱きついてくるコロナ。相対的に解放される形になって本気で嬉しそうだなお前。
俺らがいない間にどんだけコロナにかまわれてたんだか。
「さて、それじゃあ私は夕飯の支度するね。坊は明日からのこと、話しといたら?」
「ん。だな。頼むわ」
「はぁ~い。ってことやからろうちゃんは今日はもう私に任せときね?」
「……あぁ、なるほど。そういうことか。では甘えさせてもらおうかな」
カナラが今晩の支度を全部請け負ってくれたお陰でロッテとも相談ができるな。
本当色々と空気の読める良い女だよ。
あとは性欲を抑える術を身に付けてくれたら満点くれやるわ。
「さて、じゃあまず明日は誰がやる?」
今日先輩とやった人はまだ先だけど、それより厄介なのが先にいるんだよなぁ~……。
あいつだけは正直どう対応したら良いかわからない。
となると案パイしかねぇよな。
「リリン。御伽の相手任せて良いよな?」
こいつだよなぁ。安心と安定のリリン。
交流戦のときとかそのあとに食らったあいつの能力はリリンみたく存在への干渉に敏感じゃないとたぶん対処できない。
リリンもそれはわかってるだろうしきっと――。
「断る」
って、断りやがったよこいつ。なんで?
「お前御伽くらいしか興味持つような相手いなくね? それともリーグ戦は全部パス?」
「いや、我でなければ対応できん奴は一組いるからそいつだけはヤってやる。しかし、興味という話なら皆無だな。すべからくどうでも良い。御伽も、貴様が干渉に意識を向ければ弾けるだろう。コツくらいは後で教えてやる。それになにより、だ」
「それに?」
リリンの視線がコロナに……。ってことは。
「
「なんの?」
「やればわかる」
話は終わったとばかりに新しい菓子に手をつけ始めやがった。
夕飯前だってのに貪り食いやがって。
胃袋に限界がないのは知ってるけども。
「……」
「……? にゃーにゃー♪」
ま、リリンが勧めるなら試す価値はあるか。
「明日は頼んだぞ。コロナ」
「ん」
わかってるのかわかってないのかわからねぇなこいつの返事だと。
いや、以外と小賢しいことしやがるからわかってるか。
最近は灰音に構ったりごく希にちゃんと世話焼いたりしてるし、成長も見えるからな。
少しくらい保護者として信じてやらねば。それに――。
「にゃーにゃー♪ にゃーにゃー♪ はぶっ」
「……噛むな」
それに、リリンの言うキッカケも気になるしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます