第386話
「ん~……。やっぱり……少し時期が合わなかった……かな……」
ほぼ私物化している部室で横になりながら呟く
「仕方……ないか。同じ種でも……縁が……ない……し。キッカケを掴んでた人たち……しか……進んでない……のは……」
目を開けてゴロリと転がりうつ伏せに。
「まぁ、元々……セーブかけられてたし……」
またもゴロリと今度は仰向けに。
「とはいえ、ゼロじゃないから……良いかな……。天良寺くんたち……以外にも……何人か一歩進んでるし……」
御伽がまず浮かべたのは眼鏡をかけた三年E組女子。
彼女は試合はよくサボる代わりに部活には積極的に参加しているため、ごく稀に姿を見かけることがある。
「同じリーグだし……当たるかな……? もしかしたらまたサボる……かも……?」
その時はその時と割り切り、御伽は他の目ぼしい人間を思い浮かべる。
次に浮かんだのは二年A組女子。
軽くウェーブのかかったブロンドヘアーをツインテールにしている。冷たい目が印象的で、口調は丁寧でもいつもどこか人を見下している節がある。
しかしマナの量や強い契約者との縁、何より一年の時から無敗という戦績から誰も咎めることはできない。
それに彼女は意味もなく他者を蔑む行いはしない。
努力し、工夫し、勝利を目指す姿勢さえあればあからさまな侮蔑はしないのだ。
だからこそと言うべきか、彼女は惰性で学園生活を送っているE組の大半を嫌っている。
一年E組の一部には注目しているらしいけれど。
そんな飛び抜けた実力を持っている彼女にも、ナニかしらの影響がでている。
根拠は御伽の中にしかないが、恐らく間違いはないだろう。
「他は……どうなんだろ……。面白そうな先輩たちは……いるけど……。進んでるかは……わからないや……」
自分は交流戦以外試合経験はないが、観戦は好きなので上級生の試合などもよく見ている。
けれど、基本的には一年E組の試合が個人的には好きな模様。
いかに上級生といえど一年E組のあの面子以外は従来の召喚魔法師の戦い方がベース。
自称才のファンなので多少退屈に感じてしまうのは当然と言えよう。
それでも、ごく稀に目を引く契約者はいるのでチェックだけは欠かしてない。
「まぁ、明日から始まる……し。深く考えなくても良い……かな。明日の試合は普通に気になるし……」
リーグ戦は日毎に五戦。各リーグから一組ずつ行われる。
そして御伽が初日に目をつけたのは――。
「やっぱり……この二人だよね……」
伊鶴とジュリアナ。
同世代の中でもトップクラスに戦闘力の高い二人。
そして、Bリーグには彼女たちに敵いそうな存在はいない。
実質。この二人の試合がBリーグ最強を決める戦いと言っても過言ではない。
「フフ……。楽しみ……」
御伽は目を瞑り、早く明日よ来いと願う。
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