第371話

「ってなわけで、我々はリーグ戦に向けてのミーティングをするわけなんだけども。正直なめてたね」

 リーグ戦開始直前の休暇。

 カナラにでも言って影の練習でもしようかと思って呼び出されたらこれだよ。

 伊鶴のヤツがまた思い付いたかのようにわざとらしい神妙な顔浮かべてら。

「なめてたって、なにがだい?」

 律儀にもちゃんと聞いてやるミケは紳士だなぁ~。

 最近また筋トレの誘いが激しくなってきたのはうざいので紳士なら俺にも気を遣え。

 それとも女じゃなきゃ嫌ってか?

 カナラけしかけてやろうかこんにゃろう。

「もちろんリーグ戦の参加者。ちょっとタミーとやっちゃんとゆみちゃん誘って調査をしてみたんだよ」

 付き合わされたのは可哀想なんだけど、なんかお前らもちょっと真剣そうな顔をしてるな?

 なんかあったのかな?

「最初は嫌々だったんだけどさ。伊鶴に付き合って良かったって思ったよ。同級生はマークしてるのいたからあんまり驚かなかったけど……」

「先輩たちにクセがありすぎなんだって」

「私からしたら同級生にも当たらなくて良かった人いますけどね。フローラさんとか。御伽さんとか。徒咎根さんとか特に」

 あ~聞き覚えのヤツらがおる~。

 って、ちょっと待て。

 聞き捨てならない名前があったぞ。

「御伽もいるのか?」

 あいつ、たしか特別枠で色々と免除されてたような……。

 それにあんまりこういうの興味ないんじゃないか?

 あ、でも交流戦には出てたから一概にそうとも言い切れないのか。

「我々が入手した情報によると、どうやらさっちゃんが同じリーグだから参加するとかなんとか」

「……」

「あいされてんねー」

「嬉しくない」

 すでになんでも言うこと聞いてくれる女に愛されてるし、最近やっと俺離れができはじめた幼女にも愛されてるからこれ以上はキャパオーバーだわ。

 ついでに体だけ愛してきた女もいる。お互い様だからなんともだけど。

「って、あれ? となるとジュリアナのヤツは?」

 御伽が俺と同じグループってことはジュリアナはまた別のグループだよな。

 順当にいくと恐らく――。

「Bリーグで私とおんなじだよ。いえーい!」

 伊鶴が笑顔でピースを向けてくる。

 いや、嬉しいのか?

 あいつ四月に比べて丸くはなったけど、戦いに関しては前よりとんがってるぞ?

 なにせ、小咲野先生やネスさんの力を借りずに存在融合に近い同調をやってるからな。

 俺ならともかく、他のヤツらには荷が重いと思う。

「ハッキリ言って天才きょうてきだぞ。そんなのとやりたいのかよお前」

「A組最強とか望むところじゃね? むしろ、今までマッチングしたことなかったのが不思議ってなもんだったよ。私、これでも戦績良いのにさ」

 そういや何気にこいつ、五月から交流戦とアレクサンドラとのバトル以外負けてないんだよな。

 A組とも何度かマッチングしてんのに。

 ま、今考えれば当然とも言えるけど。

 だってジュリアナ同様。こいつのマナの質は天才の域。

 契約者にも恵まれてるし、良い勝負しそうだな。楽しみなカードだよ。

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