第348話
……。
…………。
………………。
ああああああああああああああああ!
やっちまったぁあああああああああ!
盛大にやらかしもうしたぁああああ!
これは夢か!? 幻か!?
否! 無情にも現実!
お、俺はつい先程。純潔を失った!
っていうか流れ的にリリンの純潔を散らした側!
男として、最もやってはいけない事を俺は……俺は!
「そう悲観することもあるまいよ」
「ひ!?」
驚きのあまりベッドから落ちちまった。
ついさっきまでにゃんにゃんわんわんしていた相手へ向き直る。
「り、リリン……起きてたか」
「忘れたか? 我は寝ずとも死なん」
「いや知ってるけど。さすがに疲れたかなぁって……」
思い出したくはないが、思い出せてしまう。
なぜかって? 性欲に負けたとはいえリリンの体を投影してるからな! 記憶力は一目で毛穴の数まで覚えられるほどだよ!
つまり! 現実逃避ができません! お疲れさまです!
「クハハ! 何をそんなに怯えている? いや悔やんでいるのか? 我の肢体はそんなにもお粗末だったか? ん?」
「……肉付きはおそま――いえなんでもないです」
ここで体をいじれば「じゃあそのお粗末な
てか、実際に俺はリリンに襲いかかったわけで。
なじられたようがいじられようが反撃の余地はなく。資格もなく。意思もない。あるわけがない。死にてぇ。あ、つい本音が。
「なぁなぁ。我はどうだった? ほれほれ。言ってみろ?」
「……」
めっちゃ上機嫌な顔で近づいてきてベッドの上で頬杖をつきながら俺のほっぺをつついてくる。
うぅ~……逃げたい。でもここで逃げるのは罪深い男がさらに罪を重ねることになる。それはできん。断固として。
「ちなみにお前は善かったぞ。初物相手には少々荒々しい気はするが、我相手には丁度良かろう。といっても幾度となく気を失うとは思わなんだが」
「ごめんなさい」
リリンが気を失うって余程酷い扱いをしたようだなもちろん覚えてます平伏。
「謝る必要などない。そも、我は始めから望んでいたろう? お前が勝手に拒んでいただけだ。……ま、その真の
「……?」
それってどういう――。
「おっと、そろそろ迎えにいったらどうだ? ネスのヤツから回収しないと気紛れでどんな目に合わされるかわからんが?」
「行ってくる」
思考に割って入られるかのように促され、服を着て支度をする。
「……お前はどうする?」
「我はしばらく余韻に浸る」
「さいですか」
じゃあ邪魔しないようにさっさと行ってきますわい。
ふぅ。逃げる口実ができて嬉しい。俺、とっても嬉しい。
「なんなら続きをしたいくらいなんだがな。もう二、三ヶ月ほど続けて」
「枯れるわ」
思わずツッコんじまったろ。なんだよ二、三ヶ月って。一晩どころか六十晩って正気の沙汰じゃないぞ。不死身でも死にそうだわ。
「枯れないだろ。そんなにヤワか?」
枯れるんだよ。精神的に。
今も若干賢くなった気分だぞ。……あーゆー意味でだけど。
「とりあえず迎えにいったら俺はそのまま戻るからな。……お前とは大人になるまでもうしないからそのつもりで」
「大人になったろ? ついさっき」
「学園卒業までしねぇつってんだよ……!」
「クハハハ! それは残念だなぁ」
この野郎……わかってて言ってんだろ……。
この肉体だから意識的にデキるかどうか決められるだろうけど。万が一、億が一デキたら今の俺じゃ責任取れないんだっての。
まったく。まぁいい。リリンも今孕むのは本意じゃないはずだし。今回だけなら大丈夫だろ。
今はあいつらを迎えに行ってやろう。
……そういや、いつの間にか気配が完全に消えてるけど。
あの声の主、ハイネの卵って……どこ行ったんだろ?
「さて、ヤツも行ったところで。始めるとするか」
「リリン様。お持ちしまし……た……」
影で終わった事を知らされてディアンナが入室すると、またもや驚くことになった。
理由は、ベッドの上であぐらをかくリリンの腹が不自然に膨らんでいるから。
まるで、そこに別の命でも宿っているかのように。
「り、リリン様……そのお腹……」
「する事すれば女はこうなるだろう? 人畜生と変わらんぞ
それはそうなのだが、才が部屋を出てたった数分でまるで出産寸前まで膨らむのはおかしい。
たとえそれがリリンであったとしても、だ。
つまりこれは普通ではない。
「なぁに。問題はない。こうなることはわかっていた。故に――」
――これより出産を始める
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