第346話
俺は今……何を考えていた……?
よりにもよって孕ませたい?
おかしい。いくら何でも話の流れがおかしい。だって、不謹慎にもほどがある。
あぁ……でも……。結嶺を見て、触れてると今すぐ押し倒してしまいた――。
「兄様?」
「……っ!?」
あ、危ない。意識が本能に支配されるところだった。
辛うじて表には出してないけど、このまま一緒にいるのはマズい。明らかにマズいっ。
「とりあえず。細かいところはまた大人と相談して決めるから。俺は今日のところは学園に戻る。やることがあるから」
「は、はい。わかりました。では、またご連絡をください」
急に手を離したことで多少の違和感を持たれただろうけど、なんとか話は終わらせられた。
あとは軽いあいさつをして別れるだけだ。
「じゃあな。……次会うときは普通に兄妹として会いたいもんだな」
「……はい!」
俺は体の動きはゆっくり歩く動作のまま、人の気配を探ってギリギリ目撃されないであろうとこまで距離を短縮する。
……これで、なんとか結嶺と距離は取れるな。一安心。
電車に乗って、学園までもう少しのところ。
当然ながら、ここまで来るのに何人も女がいた。
目に女が映る度に性欲が増してく。孕ませたい欲望が高まっていく。
リリンを投影してるから理性も強いし、ポーカーフェイスもお手のもの。うちに秘めるだけで留まってる。
……でも、でも……っ。限界だっ。今すぐ女がほしい! 誰でも良いから女がほしい!
誰でも良い! 俺に抱かれろ! ○されろ! 孕ませられちまえ!
誰でも良いから俺のこの
じゃないと……気が狂う! 俺が俺じゃなくなる!
「ん? なんだお前。これまた随分変わった事になってるな。まるで盛りのついた人畜生のようだ。あ、元々人畜生かお前は。クハ!」
いつの間にか、俺は自分の部屋についてたらしい。
でもおかしいな? この部屋。たくさんの女の匂いがするのに今は目の前のこいつしかいない……。
「ん? 他の連中はこぞって買い物だ。我は先日買い込んだばかりなのでここに一人残ってる」
あぁ、そうか。だからか。まぁでもどうでも良いんだけどな。
だって、さ? 他の女がいようがいまいが、この部屋に充満してる匂いで、一番極上の匂いを放ってる雌がいるんだから。どうでも良い。
今目の前に! 最高の
「は、はははは……!」
「お?」
俺は無抵抗の女を押し倒す。
あぁ……服越しで伝わる普通の人間よりも低い体温……。これが特別な
我慢できない。今すぐ食いたい! 孕ませたい!
あぁ、でも。でもでも! この部屋はダメだ!
もっと! 純粋にこいつを楽しみたい!
「ん……?」
俺は目の前の女を影で包み込み、ゲートを開いて連れていく。
この女の匂いが、最も色濃く刻まれてる場所へ。
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