第344話
――あら? 今ので消える流れかと思ったけど。うん。思ったより準備はできてたみたい。儲け儲け
「……」
――だけど長い時間は現存不可……か。どうにかしないと本当に消えそう。あぁ運命とはこんなにも残酷なのだろうか。誰か助けてくれたまえ。この憐れな私を
「……」
――というわけだ我が未来の父よ。少々意に沿わないことをするが、命の恩人ということで許容してくれたまえ
「……」
――まぁ、余計なバグもついでにアレに押し付けて外に出したし。そこまでの不快感はないはず。少なくとも、事が済むまでは干渉させてもらうつもりだし
「……」
――じゃ、励んでくれたまえ。私のためにも、ね。パァパ♪
「……」
――……ただし○○な意味で
「………………終わりか?」
好き勝手言って俺の中のナニかは静かになった。
マジでなんだったんだよ……。
……でもあの声の言う通り、助けてもらったのも事実ではある。
もし、あの声の主が
その結果俺がどうなるかはわからないけど、ジュリアナやリリンを見るにろくなことにならないのは絶対。下手したら俺は俺じゃなくなってた。
と、考えれば感謝せざるを得ない。例え得体が知れなくとも。不穏なことをちらほら口走っていても。俺は感謝するしかない。礼儀的に。
……けど、別に得体が知れないわけじゃないんだよな。
俺はあの声……というか、存在は知ってる。
今このときになるまで忘れてたからちょっとアレなんだけど、あの声はハイネから存在を投影する力と一緒にもらったモノだ。
俺の中に入って、俺のマナで育ったせいなのかな? 異物なはずなのにまったく違和感なく過ごして今に至る。
だから得体が知れないわけじゃないし、ある意味俺は育ての父親だからパパってのも間違いではない。……不本意ながら。
つか実体がないのにどんだけ自我固まってんだよ。めっちゃおしゃべりだったし。緊張感ねぇし。その辺どうなってんだよ。
と、理由を問い質したいのは山々なんだけど。
そら今の俺でも対応できなかったモノを俺のマナで育った生まれる前の存在がなんとかしたんだ。むしろまだ残ってるほうがどうかしてる。タフ過ぎんだろハイネの卵。しかも、まだ助かるみたいなことも言ってたしな。
俺にナニかするつもりらしいけど……今のところは変化なし。
ナニをするつもりかはわからないけど、様子を見てみるか。
「あ」
そういやあの腕。弾いたのは良いけどどうなっ――あれま。跡形もなく消えてる。あるのは微妙に残っていた袖の切れ端だけ。肉も骨も影も気配をたどってもなんも残ってない。
……ネスさんへの土産がなくなってしまった。これじゃあどうして
はぁ……。
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