第340話
「あんたの息子だって言ってんだろ? その耳ちゃんと穴空いてる?」
「アレがここに来るわけ――」
「俺を不審者呼ばわりする割りに警察を呼ぼうとしない理由でも言おうか?」
「……」
痛いとこを突かれたってか? だろうな。あんた、自分のやってること悪いと思ってなくても。やっちゃいけないことって認識はしてるもんなぁ?
「育児放棄の証拠しかねぇんな?
「だ、黙れ!」
「あ、どう入ったかも知りたいんだったか? 結嶺に言ってセキュリティを解除させた。なんなら今通話でもかけたらどうだ? 敷地の入り口辺りにいるらしいぞ」
家の場所は山の中腹。結嶺のいる場所は
「……いや、良い。もう良いお前があの
安定の上から目線。暴君か何かかよ。今さらだからどうでも良いけど。ツッコむのもめんどくさいわ。
「で、ゴミが何の用だ? 今さら俺の前にその不愉快な存在を出したんだ。くだらない用件なら今すぐ出てけ」
語気はさっきより落ち着いたが、不機嫌度は増し増しかな?
そら才能至上主義の男だもんで。才能のない俺は嫌悪の対象でしかないもんな。
奇遇なもので俺もあんたが大嫌いだ。気が合うね。仲良くできそだわー。
「結嶺に婚約の話あるんだろ? それ、解消してもらおうと思って」
「くだらない用件なら出てけと言ったぞ無能」
「落ち着けよ。話はまだ途中――」
「出てけと言ってるだろうが! 頭も耳も腐ってるのか!? それにさっきからその生意気な口も腹立たしい! どうやら口も腐ってるようだな!」
うわー。まーたヒステリック起こしてるよ。
まったく。人の話は最後まで聞けって親に教わらなかったのかね。この男。
ちなみに俺は教わってない。母さんからも特に注意は受けたことない。良い子だったもんでね。
実際はそもそも社交的じゃないから口を開かなかっただけなんですけどねー。
っと、んな余計なことを考えてる場合じゃない。早速餌をチラつかせて話を進めないと。
「……ん」
「……っ! き、貴様っ。それ……!」
取り出したるは魔帝より賜った封筒を一つ。
こんなとこに閉じ籠ってる引きこもりでも。どうやらこの紙製の封筒の意味がわかるようだな?
「話を聞く気になったか?」
「……良いだろう。聞くだけは聞いてやる」
よっし。とりあえず交渉には入れそうだな。
つっても会話が成立した時点で俺の勝ちなんだけどな。
さて、あんたの破滅も秒読みだ。俺に抱いてる嫌悪も優越も今のうちに味わっとけ。
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