第282話
「「……」」
「……」
あれから六日。同じ部屋で暮らそうとも触れることが叶わない故に虚無面でぼけ~っと座ってるアホが二匹。
最初の頃は……結構元気だったんだけどな。
「そぉ~……」
「おい」
「ひ……っ」
授業中。チラチラ見てると思ったら……。
口に擬音出しといてバレねぇとでも思ったのか。バカなのか。
「約束を守れない女は嫌いだ」
「うぅ……」
「にゃーにゃー!」
「俺にちょっとでも触れてみろ。同じ空間にもいてやらねぇからな」
「……」
何度目だその絶望的な顔。いい加減慣れて罪悪感なくなってきたぞ。
そういうのはここぞというときにやってこそだし、コロナならわかってるんだろうが。
タイミングを計る余裕もなくなってきたのかねぇ~。乱発しまくってるわ。
そんなんじゃ効果薄れるだけだから自とけー。
「ころちゃん……寝てる時なら……」
「ふんふん……」
「……」
まさかコロナがヒソヒソ話に応じるとは。意外だ。
それだけ切羽詰まってるんだろうが……丸聞こえじゃ意味ないぞお前ら。
「もし寝てるときに触れずとも布団の中に入ってきたりしたらリリン家で寝るからな」
「そんな!」
「……!?」
「お? そいつぁ良い。久方ぶりにやるか? んべ~」
……あいつにも接触禁止令出したほうが良い気がしてきたな。
こんな感じで。試行錯誤を繰り返してたのにいつの間にか虚無になった。
まったく。何週間とか離れてる経験もあるのになんでこうなるかね……?
あれか? 目の前にいるから的なやつ? 生殺しのがキツい的な?
ん~……そういうことなら……納得できるかも?
「ほら二人共。阿呆面晒してないでさっさと寝る支度を整えろ。明日には終わるのだからさっさと寝た方が得だぞ」
サラッと酷いことを言うロッテ。
だがカナラとコロナは反応はしたけど別のとこに感心がある様子。
「終わ……る?」
「触るのを禁じられてるのは今日までだろう? 明日には仕置きも終わるぞ」
「明日には……終わる……。坊の残り湯で我慢する日々が……終わる……?」
お前残り湯でなにを……いや、やっぱなんでもない。どうせろくでもないから知りたくないわ。
「……そうだぞ。だからもう早々に寝てしまえ」
「……うん」
俺と同じことを思ったのか一瞬迷った上でスルーするロッテ。
お? お前ちょっと鈍った勘戻ってきたんじゃないか? 良かったな。その調子で察しの良い女でいておくれ。
「ころちゃん……行くよ……?」
「……」
コロナを連れて布団を敷き中に潜り込む。
コロナは無反応なのでカナラにされるがままだったけど。頑張って寝ようと努力してるな。
頑張りすぎてまぶた閉じる力入れすぎて逆に寝れなくなりそうになってるのはご愛敬。
さて、二人が寝る態勢になったからってわけじゃないけど。俺も寝るかな。
……明日になった瞬間襲われないとも限らないから少しでも休んでおかないと。
この体じゃあんまり意味はないが……気持ちの問題ってことで。
その夜。カナラとコロナはなかなか寝付けずゴロゴロと忙しなかった。
気持ちはわからんでもないけど寝るなら寝ろようっとうしいから。
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