第262話

「クハハハハハ!w おまっ!w それお前!w それは流石に狡かろうて!www 」

 人が帰ってきて早々草生やしてんじゃねぇぞテメェこの野郎。

「もう~。そない笑ったら可哀想よ? 今の坊全部忘れとってただの子供になってもうてるんやから」

「だからってw その格好はw くははは!www」

 俺だってこんな先輩の悪ふざけ丸出しの短パンサスペンダーなぞ今すぐ脱ぎたいわ。

 でも目を覚ましたらこの格好で廊下歩いてたんだよ! ちくしょう! 恥ずかしい!

「はー面白。……で? 記憶が飛んでるんだったか?」

「そそ。七日はこのままなんやて」

「ふぅ~ん?」

 あ、あの目は気づいてやがるな? 俺の嘘って。

 クソ。やっぱちょろカナラは騙せてもテメェは騙せねぇようだなドスケベロリババア。

 どうせお前のことだ。また変なイタズラでもするんだろう? な、なにが望みだ? やっぱり俺の体か? こんなちっちゃい体でも俺だもの。カナラのようにお前も――。

「ま、良いだろう。小さくなったそいつには大して興味もない。貴様が適当に世話をしてやれ」

「言われんでもするけど……。なんや冷たいねぇ~」

 たしかに冷たい。いや良かったけどさ。興味ないってそれはそれで悔しいな。

 興味持たれて流れるまま○されたらたまったもんじゃないから結果的にこれがベストだけども。

「仕方ないだろう? 余計なモノが色濃く混ざってやがる。正直同じ部屋くうかんにいるのも息苦しい」

 あ、そういうことね。そういやお前カナラとキスした後とか別の臭いがあるから嫌つって代わりに足を口に突っ込んできたくらいだもんな。変なところ潔癖でウケますわ~。

「……連れ込むぞ?」

 心を読むんじゃねぇ。

 あと今の俺にその言葉は危ないのでやめてください。

「でも……あれやねぇ? 目覚ましてからなんでかご機嫌ななめなんよなぁ~……。どうしてなんかなぁ~?」

 それはなカナラ。この服と……いつまでも俺を離さないロリ巨乳がうっとうしいからだよ。

 手頃なサイズになっちまったもんで俺を人形のごとく担いだまま離してくれません。

 お陰で首を後ろからおっぱいで押されて窮屈だくそったれ。

「フンフンフン!」

 ご機嫌に鼻息鳴らしてんじゃねぇ。こっちはテメェに首をやられ続けてて不機嫌なんだからよ。

「コロナの抱っこが下手だからじゃないか? 手本でも見せてやれ年の功」

「え? そ、そういえば私の時はそんなブスっとしてなかった気ぃするわ……。坊は私の抱っこのがええのん……?」

 余計な火種を撒くなよ! カナラちょっとその気になっちゃっただろうが!

 そらコロナよりかはカナラのが良いけども。ちゃんと力加減とか抱き方とか考えてるからな一応。

 でもまずもって抱くんじゃねぇよって話をしていいかね?

「こ、ころちゃ~ん。ちょっと一回坊こっちに……」

「や!」

「そうよねぇ~……」

 即答。コロナの俺を離さんという鉄の意志を感じる。

 だがしかしそろそろ俺も限界だ。脱出させてもらおう。

「……!?」

 俺とコロナの接地面に影を展開。摩擦をなくしてスルッと抜けてやったわ。

 さて、あとはどこに逃げるかだが……珍しく寝そべってるモフモフのとこで良いか。犬ロッテに飛び込もう。

 とう! ばふん!

「おわ!? さっきから騒がしいとは思ってたがイタズラは――」

「……」

「……ま、まぁまだ幼児だし仕方ないか。だがあまりはしゃがず静かにするんだぞ」

 ダイブした俺の今の外見を見て動悸が激しくなったぞお前。

 しかもいつもの初心うぶな感じじゃなくカナラみたく母性的なドキドキだなこれ。

 お、お前ら……。似てるとこあるなぁって思ってたけどよもや幼児フェチまで同じだなんて……。僕はちょっと悲しいよ。よよよ。

 でも小さくなったことでモフ度が上がってる。素晴らしい。一生ここにいたい。

「にゃーにゃー! ふが!」

 そしてお前は人のケツに顔突っ込んでくるのやめろ!

 俺のケツよかロッテのほうが絶対触り心地良いだろうがよ!

 ……だけどロッテのお陰で被害がケツに留まったことだし。うん。とりあえず妥協してやろう。

「ふす~……ふす~……」

 だけど嗅ぐのはやめろ。嗅ぐのだけはやめてくれ。絵面がまずいから!

「うぅ~……ええなぁ~……」

 羨ましそうな声だすな。頼むから。

 お前まで混ざったら本当に手に負えないよ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る