第186話
「んっ……はぁ……」
まぁ、塗るんですけどね。リリン一番の美肌だからな。やらなかったらやらなかったで変に注目浴びそうだもの。
「……変な声出すなよ」
「毎度の事だ。諦めろ」
「ちったぁ努力しようって姿勢は見せてくんねぇのかな?」
「ないな。必要性を感じない」
この野郎。俺を気遣え。ロッテのときも酷かったけどお前に触ってから男からの嫉妬の視線がさらに鋭くなったぞ。
相手は幼女ですよわかってますか皆さん。嫉妬の必要ありませんよー。いやまぁもう少女ってサイズですけども。子供ってことには変わりません。
それから女性の方々。なんであんな冴えない男が美女と美少女とロリ巨乳にオイル塗ってんの的な目を向けないでください。好きでやってるわけじゃないです。
「おおう。えちえちだ……」
「ジャパニーズは訓練されたヘンタイっていうのは今も昔も変わらないんだなボーイ」
「……スケベ」
「人前でそういうことしちゃダメだよ才」
お前らもイロモノを見るような目をやめやがれ。ぶん殴るぞ。
「んん……っ!」
またしても艶っぽい声を上げるリリンにムラッと……じゃない。イラッときた。
「あえぐなっ」
「うぶふっ」
ので、頭を押しつけて無理矢理口を塞ぐ。なんてことしてんだって目線は気にしない。というかなぜかそっちは気にならない不思議。
「ぷぅっ。……まったく。乱暴なヤツだ」
顔を起こすとクルッと体を反転させる。
おい。ビキニの紐まだ結んでないぞ。今回は動き的に落ちないのわかってたから飛び込まなかったが、万一おっぱい見えたらどうすんだよバカ。
「そら。背中は終わったろう? 次だ」
「……」
色っぽく誘うリリンを無視して立ち上がる。
「ん?」
足にオイルをつけ、そして。踏む。
「調子乗んな!」
「ごっふ……! お、お前っ。それは普通に痛い」
マナを込めてるからそら痛いだろうよ。痛くなかったらやる意味もないしな!
「この! おら!」
「ほっ! よっ!」
踏む俺と転がり避けるリリン。俺たちの攻防は夕美斗と八千葉が合流するまで続いた。
それでオイルをどうするかと多美に聞かれた二人が信じられない言葉を発しました。
「ありがとう。でももう更衣室で塗ってきてるから大丈夫だ」
「寝ぼけてるうちに塗られてました。えへへ」
「……」
ホテル内で教えて更衣室でやらせりゃよかった! 時すでに遅し! クソッタレ!
「ロゥテシアちゃんも戻ってきて全員集まったところで……遊ぶぞぁあっ!」
時間を置くことで完全に回復した伊鶴が雄叫びを上げる。筋肉痛ももう慣れたらしい。
「私はパース。まずはのんびりしてるわ」
まず多美がパラソルの下でデッキチェアに寝そべりリタイア発言。優雅にジュースを飲んでおられる。
さ、様になってるなぁ~……。
「私も運動は苦手なので……。パスで」
続いて今時アナログな眼鏡をかけた八千葉がリタイア。
わざわざ持参したであろうタブレットでなんかし始めたぞあいつ。部屋にいりゃ良かっただろ。
ただ、あれだな。この流れならこの場から離れるのも可能なのではないだろうか。二人も三人も一緒だろってことで。
「じゃあ俺も――」
「っ!」
ちょっとコロナを遊ばせてくると言おうとしたら伊鶴が詰め寄ってきた。泣きそうな顔で。
「なんだよ」
「あうわうあ! いびびばば! あぶぁあ!」
「なんつってるかわかんねぇよ」
コロナより意思の疎通図れねぇじゃねぇか。
「わかる! わかるぞ伊鶴! 友と遊ぶ。それだけで満たされる心があるんだな!」
「なんであんたはわかんだよ」
「ソルウメイトだからさ!」
さいですか。珍獣同士わかりあえてんだな。
「ぐべありぁ!」
……本当に通じてるんだろうか?
「……才。せっかくだから……ね?」
だからミケよ。その寂しそうな面やめろ。きしょい。
「……」
「げべぼぉ!」
「……あぁもうわかったよ。わかったから近くで奇声あげんじゃねぇ」
「ふん!」
「がふっ!?」
顔に唾がかかってイラッとしたコロナの蹴りが伊鶴の顎をはね上げる。けど。
「あ、愛が強い……っ!」
本人は嬉しそうだから良しとしよう。無事だし。
きっとコロナが上手く加減したんだろう。偉いぞ。
「んふふ~♪」
撫でてやるとご機嫌になる。だけど悪いな。そこに水を差させてもらうわ。
「そろそろ下りろよ? 邪魔だから」
「( ◎Д◎)」
「……」
うるせぇのもどうかと思うけどお前が時折やるそれもすげぇインパクトだよな。普段表情あんまり動かさないだけに余計に思うわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます