67頁目 岩人形と覚醒
雪山で
「生き物なのかな?」
「
岩の
お互いに
「嘘ぉ!」
すぐさま右に前転しながら回避する。
ロケットパンチとかマジか! ゴーレムといい、
感動と
「行くよ!」
その掛け声に
地面を
「っ!」
今さっき、ロケットパンチで撃ち出したはずの右腕を振り上げる姿がそこにあった。回避した直後に、右腕を叩き付けて地面を
視界が晴れたのはすぐ、ゴーレムの
「
これでは狙撃銃も弾の無駄にしかならない。ロケットパンチの後の再生力を見るに、その速さは異常だ。というか動作の一つ一つこそ遅いものの、反応自体が遅い訳でなく、むしろ私の行動に瞬時に対応する程度の反応速度を持っている。
「反応だけでなく、予測も出来ていないと今のは対応出来ないはずだけどね」
相当面倒くさい相手だ。
「
「
綱引きの要領で紐を引き、相手の転倒を
相手はバランスを崩して、激しく
「
今度は雷の
命中した槍は、そのまま頭部と思われる部分を
「どう!」
様子を
頭部が破壊されたゴーレムは、痛みを感じていないのか、
「頭部は効果なし」
こういう
よくあるのは頭脳となる頭部か、心臓となる胸部。
「となると、やっぱり心臓か」
再び雷の槍を生み出して、それを投げる。しかし、それは前に出された左腕によって止められてしまった。正確には左腕は砕けたが、胸部に届く前に槍が消えてしまったのだ。
そして安定の再生力。これがあるから自損も気にせず平然と
「だったら、全部壊してしまえば良い」
脳筋的発想。
「
相手の周囲に雷を放って、その熱で雪を溶かすと同時に電気分解を起こして水と酸素に分離させる。そこにすかさず火の付いていないマッチを投げ入れ、雷で着火させる。
瞬間、ゴーレムの周りが爆発し、爆煙で姿が見えなくなる。しかし、そこに私はノトスを握って一気に飛び込んだ。
あの防御力と再生力だ。すぐに
「かはっ」
背中から叩き付けられ、その衝撃で体内の空気が一気に口から出た。
ふらつく身体を押さえながら立ち上がる。
エルフの民族衣装に
回復したいが、この状態では詠唱が出来ない。
「ちっ」
思わず舌打ちするが、考えに
ノトスから心配するような気配を感じるが、今は反応してあげることは出来ない。
「はぁ、はぁ……」
回復魔法は使えないが、エルフ族特有の
しかし、
「っ!」
左からの衝撃で再び吹き飛ばされた。
「何がっ!」
すると、地面から岩の
「土魔法!」
あるいは岩魔法、石魔法だろうか。しかし今の状況でそんなことどうでも良い。相手は魔法も使える。遠距離攻撃が先程のロケットパンチだけでないということが分かったが、どう対処すべきか。
今度はしっかりと受け身を取って、相手の位置を確認したところ、今度は左腕を振り下ろそうとしていた。
「くっ!」
すぐにでもアレを倒さないとと、
「
「ノトス!」
その声に反応して、風を吹かす。ノトス自身の魔力で風を生み出し、それを
相手が土魔法を発動する
その一瞬に気の
切り落とされた部位は制御出来ないと、無意識に思い込んでいた。
瞬間、背後で切り落とされた左腕が爆発し、大小様々な石が背中にぶつかり前へと飛ばされる。その先にいるのは右腕を構えたゴーレム。
「まだ」
諦めない!
「
瞬間、雷の鎖を出して自身と地面を結び付けた。鎖に引っ張られたことによって、私は強制的に地面へと落とされるが、その直後に真上を大岩の右腕が通過するのを
しかし、先程の左腕爆発のことがあるので、一瞬で鎖を解除。身体機能向上の精度を上げて更に身体に鞭を入れる。
予想通り、私が右腕の真下にいると分かった相手は、左腕と同じように右腕を破裂させるもその場には私の姿は既になく、ノトスを手に更に相手へと接近していた。
「大丈夫! ちゃんとやるから!」
私から魔力が引き抜かれる感覚がするが気にしない。
制御すると決めたあの日から、ずっと魔力を渡してきた。この程度で倒れはしない!
「うっ」
苦痛で顔が
「身体強化!」
三段階目の身体強化の引き上げを行い、完全に継続回復の保護下から離れた身体は、節々を引き裂きながらも形を
いくよ。
声には出さなかったが、その意思を汲み取ってくれたのか、ノトスが、相棒が頷いてくれたように感じた。それに
「
全てを、破壊する荒ぶる南風。その力を……
「
解放する。
瞬間、今までに感じたことのない暴風が周囲を巻き込み。暴れ回る。触れた物全てを切り裂き、
私がいるのは台風の目。そこは不思議なくらいに静かで、周囲の物が吹き飛ばされていくのをぼんやりとした感覚で眺めていた。
痛みは感じない。それどころか、あらゆる感覚が言うことを聞かない感じだろうか。そして、そのまま脱力した私は前へと倒れ込む。
吐き気は感じない。頭痛もしないし、視界が回るような不愉快な感覚もない。不思議だ。何も感じないはずなのに、それを感じないことを理解していることを感じている。
「あっ……」
何を言おうとしていたのか、私自身でも分からない。ただ、すごく眠かった。ゴーレムがどうなったのか、まだ生きているのならすぐに動かなければなど考えが
「大丈夫ですわ。アレは倒されました。今はゆっくり休んで下さいな」
そんな
直後、私は意識を手放した。
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