50頁目 商業の町グリビと魔法のイメージ
エメルト王国に入り、
人口もレガリヴェリアに
「さて……」
ギルドへ
「お疲れ様でした。また機会がありましたら
「あぁ助かったよ。むしろこのままウチのパーティに加入しないかい?」
スパスさんが年季の入った手を差し出してきた。しかし、その手を取ることは出来ない。
「申し訳ありませんが、私は私の旅がありますので」
「まぁそうだろうね。いや気にしないでくれ。あわよくばってね」
そう言ってあっさりと手を引いた彼女は、変わらず笑顔を向けてくれた。
「それじゃあ、気を付けるんだよ? お前さんの方が年上というのは理解しているが、いかんせんその見た目じゃあねぇ」
「いえ、ありがとうございます」
何故か年下に心配されることが多い。
日頃の行いのせいだとは思うのだが、それでもこちらの方が一応年上なのだ。それなりに敬意を払ってもらっても
彼女達のパーティとはここでお別れだ。スパスさん達は皆、ここグリビ出身でグリビギルド所属なので
「それでは、お元気で」
「そちらもね」
七人はまだギルドでやることがあるということで、私だけ一足先にギルドを出る。
「まずは宿探しね」
夕方で、一度にこの数の商人や冒険者が
ということで、私は少し出遅れて宿探しとついでに夕焼けに照らされる町並みの散策と
それから、段々と日が地平線の向こう側へ隠れていく頃、ようやく宿を見つけた私は
「やれやれ」
肉体的疲労はないが、精神が気付かない間に疲れがあったのだろう。自覚はなかったが、こうして椅子に座ることで一息
眠気はない。
ついに知らない土地へ来たのだと思うと、何でかすごいと思って
「外国に来たっていう実感は沸かないけどね」
陸続きでただひたすら馬車に揺られてきただけだ。確かに国境線は越えたし、その目で線となる川の
しばらくボーッとしたところで「よしっ」と上体を起こし、武器や防具の手入れを始める。特に
あの時は
「
今使える雷魔法の種類としては、攻撃、
微妙に威力が足りないか、下準備が必要だったり発動まで時間が掛かったり、もしくは使用後に何らかの制限が掛かると中々にピーキーである。
攻撃面はノトス、弓矢、狙撃銃があるので問題ない。
防御面もある程度は防具で何とかなる。耐物理なら鉄火竜のジャケットがあり、耐魔法でもエルフ伝統の民族衣装がある。まぁ
索敵はこれ以上の発展は見込めないと思う。これよりも上に行くとなると、もっと明確なイメージが必要なのだが、私はそこのところが
付与は問題ない。あるとすれば、ノトスに
問題は、拘束と加速。拘束は
「うーん、
一応オリジナルで呪文を書き出しては、何度も読み直しているのだが、何かがズレているようでモヤモヤする。当然、魔法も発動しないか失敗に終わる。
こういう考え事をする時は、大抵
個室というだけで宿を取ったのだが、ベッドとちょっとした荷物を置く場所がある程度。
前世のカプセルホテルよりは広さ的にはマシとはいえ、あちらは冷暖房完備でインターネットに
武具の整備点検も終わったし、魔法薬作りも出来ない。本を読もうにも燃料を買っていないのでランプの明かりがない。薬草をすり潰す作業だけなら数十年ひたすら繰り返してきたから、見えなくても触感や匂いで分かる。
魔力が続く限り
「うーん……」
明日、町の散策のついでに探してみるか。
長く滞在するつもりはないが、何故か毎度それで足止めがあり、結局何ヶ月も居座ることになってしまっている。
たとえ、フラグだったとしても、今度こそはちゃんと早めに町を出て王都リギアに向かいたい。
「海……」
そう、海が見たいのが理由である。
この世界で
前世でも恐らくぼっち
もちろん見たいのは漁港ではなく、リゾートのような砂浜の海岸。漁港も魚の
そうと決まれば、やることもないので寝ることにする。もうとっぷりと深夜なので、そう何刻も寝られないだろうが、一刻、二刻でも私は問題ない。ただずっとボーッとして無駄に時間が過ぎるのを待つのが嫌なので、寝るという行為で
「おやすみなさい」
ベッドで横になり、誰に向けるでもない
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