第11話 乞う命
郵便受けの音にビクッと反応した男は、
その入れられていたモノに対し、どこかで見覚えがあった。
それは、3年前の発表前日、202号室のポストに入っていたのと同じハガキであった。
その赤いハガキには短く、
"本日、生命維持税未納予定 不足分500円"
と書かれているだけだった。
明日で生命維持税は廃止予定だとテレビでお偉いさんが言っていた直後なのに、
しかも不足分が500円・・・
これを乗り切れば生きながらえるという事だろ・・・
男は今、持っている現金をかき集めた。
しかし、20円しか持っていなかった。
あれ以来、現金をほとんど使わなくなったこの社会では、これだけの所持金でも生きれるのであった。
男は必死になって500円を手配しようとした。
同僚や親族に連絡を取ろうとしたが、この日も通信が悪く、全く取れない。
現在の時刻は22時14分。
"500円の不足ということは、23時には生命が支払えなくなるということだろ??"
何が何でも集めなくては!!!
しかし、同僚も親族も誰も連絡がつかない、、、
刻一刻と時間だけが過ぎる、、、
すると、隣の部屋からドンドン、という生活音が聞こえてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます