第10話 政府の種明かし

男は今日も会社で働いていた。


今は、"今の普通"の生活を送っていた。


この男は典型的な"国民性の性格"で、

真面目な性格が取り柄でもある。


そんな性格の人が多いこの国では、こんな出来事も受け入れる人が多かったのだろう。


この数日後、この国民達が怒り狂い、そしてもがき苦しむ時がくる。




政策発表・実施から3年余りが経った時、政府は緊急発表会見を行った。


それも出勤ではない土曜日、夜22時という遅い時間。


貰い物の密造発泡酒の飲んでいた男はテレビにかぶりついていた。

それはこの政策についての種明かしがあった。


この政府のお偉いさんによる話は次の通りだった。




"3年前より、生命1時間につき500円の価値を定め、それを生命維持税とした"


"犯罪者や脱税者、債務者などから賠償金・返済額などを金額に換算して取り立てる"





男は感情が素直に震えとなって現れた。


生命維持税は、月に500円だとばかり思っていた。


そして、金勘定ならぬ、生命感情を始めた。



月々手取りで8,000円を下ろし、

諸々を引いて、約200,000円の貯金。


1時間500円の生命維持税 × 24時間 = 12,000円 / 1日・・・!!!


1日生きるのに12,000円必要だったとは・・・


月にかかるのは、、、360,000円!!!!!


給料200,000円を入れても、月に160,000円足りない。


これを約600万円の貯金で切り崩していたとすると、、、


37.5ヶ月分、、、


政府のお偉いさんの発表はもう1つあった。


"再建のメドが立ち、明日を持って、生命維持税を廃止する"



その時、郵便受けに、カタンッと何かが入れられた音がした。

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