第5話 隣人

男は会社の同僚達に500円を貸して欲しいと連絡したが、誰にも繋がらない。


出ないというよりも、電話が綱がらない状態の様だ。


世の中の動きに通信会社も麻痺しているのか?としか考えられなかった。



真っ赤な請求書が不安を煽る。


138,990円を集められないとどうなるのか。


夜の21時に取り立てに来るなんて、どんな奴らなのか。


時刻は20時12分。


アパートの隣人に借りる事を考えた。


このアパートは2階建、各階4部屋ずつ。


男は204号室と一番奥の部屋に住んでいる。


お隣の203号室とはつい最近、音がうるさい注意し、険悪なムードになったばかり。


仕方がないのでその部屋を飛ばして2つ隣の部屋に向かった。


202号室は電気がついているが、ノックをしてもチャイムを鳴らしても居留守を使われているようで誰も出てこない。

郵便受けにもハガキが入っているが、これを取りにも来ない程、何かあったのだろうか。


その隣の201号室は電気が消えている。


一階の101号室から104号室は近くの大学が寮として借りていて、

今は入れ替わりの季節のため誰もいない。



男は悩んだ末に、203号室へは行かず、借りる事を断念した。


そして、素直に500円足りない事を取り立てに話そうと決意した。


そして、テレビを観ながら20時56分まで過ごしていた。


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