第46話 力→子犬
アオオォォオン・・・ グルルルルゥゥ・・・ ガアアアァァ・・・
「よし。復活は・・・してこないようだな。」
俺たちの一斉攻撃によって三つの頭を同時に潰されてケルベロスは倒れたようだ。
キラキラと光の粒子の様な粒となり掻き消えて行った。
「ふぅ。なんとかなったようだな。ギンさんの力によって強くしてもらえなかったらまた足手纏いになるところだった。」
「そうそう。ハビナちゃんなんでそんなに強くなってるの~?わたし、ううん。ある意味レオンちゃんより強くなってない?」
そういいながらミズホはハビナの身体をまさぐっている。ただ触りたいだけだろそれ。
「ひゃん!もう!ミズホ様やめて下さい!だから胸はっ・・・!はうっ!」
「ミ、ミズホさん!それぐらいにして・・・ハビナちゃんはギンジさんの[血の契約]というスキルによって大幅に強化されたようです。」
ガジュージが鼻のあたりを押さえながら説明する。そうか、ガジュージには刺激が強いか。まぁ俺もしっかりとは見ていられないが。この辺りが未経験者には辛い所だな。
「血の契約?なんだか物騒な名前ね~?まさかギンジ君・・・ハビナちゃんを言いなりにしてあんな事やこんな事を・・・?」
「あんっ・・・!」
「しない!それに[
「ギンさんに対して不満などあるはずがない。ミズホ様、ご安心を。」
「ふ~ん。ハビナちゃんがそう言うのならお姉さんももういいわ。」
ミズホなりにハビナの事を心配しているのだろう。その為にも守らないとな。俺が死ねばハビナも死ぬ。それも避けなければならない。勝手にスキルを使ってしまったのは俺なのだから。
(所でお前たち、我の奪われた「時」の力の事を忘れてはいまいか?)
「!?そうだった。あの聖獣・・・称号がゲートキーパーとなっていたな。門番、守護者だったという事か。おや?あれは・・・?」
「さっきの聖獣がいた所に何かある!」
ハビナがたったったと聖獣を倒した地点へと駆けて行った。
「これは・・・?おーい!ギンさん、これを見てくれ!」
「僕が湖底で見つけた水晶の様な玉だな。」
「あら~、綺麗ね~。」
ハビナとガジュージ、ミズホがそれを持って回している。さっきはそれが急に光って聖獣が出てきたんだが・・・大丈夫か?
「それがリオウの力の源の一つらしい。で、リオウ。これをどうすればいいんだ?」
(うむ。少し待っていろ。・・・失われた我が時の力よ。今一度我の中で輝きを放て・・・)
カッ!!
「うわっ!」
「こ、この魔力量は・・・!」
「何が起こったのかしら~。」
「ま、眩しい!クソッ!また聖獣か・・・!?」
光が収まると先程の様にまた聖獣が・・・なんてことは無く辺りは静かな湖に戻っていた。
「ふう、なんとも無いようだな。」
(これで我に時の力が戻った。銀次よ。お前にも力の高ぶりを感じるであろう?)
「・・・ああ。確かにさっきよりも力が充実しているのを感じるな。」
ステータスは・・・
ギンジ・スドウ
人間 男性
レベル 32
物攻 800
魔攻 800
防 800
敏 800
スキル オートMリカバー 双飛竜 差し伸べる手 血の契約
称号 転移者 勇者 契約者
さっきの聖獣戦でまたもレベルが上がった様だ。それにリオウの力が戻ったからかステータスがさらに伸びている。
敏の値も高すぎて制御が難しいぞ。ステータス変動で魔攻か防に振った方が良さそうだな。
「私もレベルが上がってるけどいつもより多く値が上がっているぞ!」
ハビナにも俺の能力が上がった分何か恩恵があったりするのだろうか。
「ハビナちゃんとの差がまた広がってしまうのか・・・」
「まぁまぁ。ガジュージ君も頑張りましょうね~。ってあら~?ギンジ君、そのカワイイ生き物はな~に?」
ミズホが俺の頭の上を指差して言う。何だ?確かに違和感が・・・生き物?カワイイって・・・
「初めまちて!あなたたちとっても強いのね!あたちビックリしちゃったの!ワンワン!」
「わっ!何だこいつ!いつの間に!おい!俺の頭から降りろ!」
急に頭の上から声がするからびっくりした。頭を振るとそれは俺の頭の上からぴょーんと降りてきた。・・・なんだこいつ?犬?
そこには黒くて大きな目にピンと立った耳、体はつやつやした黒色の毛に覆われた・・・現代で言う子犬が座っていた。
「わー!カワイイ!ワンちゃんだ!」
「確かに愛くるしい顔立ちをしている。でもなぜこんな所に?」
ハビナとガジュージはその子犬を撫でている。
「おいリオウ、こいつは何だ!?」
(嫌、我にもわからぬ。時の力を取り出した残滓の様なものだろうか。)
リオウにも解らないのか。仕方ない竜眼で確認してみるか。
????
聖獣
レベル 23
物攻 200
魔攻 170
防 90
敏 160
スキル ハウリング
称号 ゲートキーパー 力の器
「なっ・・・!聖獣だと!?お前まさか・・・さっき俺たちと戦ったあの聖獣なのか!?」
俺の竜眼には今しがた俺たちと戦っていた聖獣という記載があった。レベル、ステはかなり下がってはいるもののスキルのハウリング、称号のゲートキーパーはまさしくさっきの聖獣のそれだ。
称号に以前はなかった力の器とあるが・・・
「そうなのです!あたちは聖獣!とっても立派なのです!ワンワン!」
(聖獣だと?という事はやつらの配下の者・・・嫌、やつらの力は感じない。一体なぜ・・・)
リオウもこいつに関してはよくわかっていない様だ。だがリオウの言う様に聖獣とはリオウの敵が使役するものだったはずだ。という事は俺たちの敵って事だよな。
「皆!下がれ!こいつは敵だ!」
「何だって!?こんなにカワイイのに・・・!」
「クソ!もふもふしたい!」
「あら~残念ね・・・」
皆名残惜しいとでもいう様に聖獣から距離を取った。見た目に騙されちゃいけない。
こいつはリオウの敵なんだ。
「違うです!あたちは敵ではありませんです!あたちのご主人はもうあたちの事を・・・」
そう言いながら聖獣は目にいっぱいの涙を浮かべている。なんだよ。やりづらいな。
「ギンさん!少し話を聞いてあげたらどうかな?私にはこの子が悪い子には見えないんだ。」
「僕もそう思う。獣人の勘と言うか・・・」
「お姉さんもおかしな気配は感じないけど・・・ギンジ君にまかせるわ~。」
「だが・・・」
獣人ズはこいつは敵では無いと言う。だが俺はリオウを裏切る事は出来ない。
(銀次よ。こいつはもしかすると使えるかもしれぬ。少し話を聞いてみるがいい。)
「リオウがそう言うのなら・・・おい、お前の名前はなんて言うんだ?聖獣と言ったな?お前を使役していた連中はどこにいる?その辺りの事を話して貰おう。」
聖獣は少し下を向いて考える仕草をしてから話し始めた。
「あたちの名前はスララ!スララ・ララ!あなたがあたちの新しいご主人様なのです!」
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