第13話 レベルアップ

「勇者さんたちお疲れ様。さすがだね!特にジングウジ君の総合能力の高さととマユミちゃんのマジックアローだっけ?あれはかなりイイね!」





メーシーの評価に続いて一緒に来た兵士たちも興奮しながら話し出した。





ザワザワ





ホントだよな!俺としてはカオリ様のスピードに憧れるぜ!





いやいや!カセ様のパワーだろ!





お前らはわかってない!アンナ様の絶妙な締め加減を見たのか?あのテクは凄いぜ!








またおかしなのがいるがやっぱり好きな系統ってわかれるんだな。





「ギンジ様もとても勇敢でした!一瞬私が一人になりそうな時に攻撃を受け止めてサポートしてくれましたよね?ありがとうございました!」





そう言いながらエミリア王女は俺の腕をギュッと掴んできた。俺の腕にはやわらかくも弾力のある2つの双丘が・・って、ちょ、ちょっと胸が当たってるんですけど!








確かに俺には決定的な一撃もスピードもない分周りを見て足りない所を埋めようとしてたけどそこにエミリア王女がいたのか。やってる事は一般兵と変わらないとも言うけどな。


あ、今思ったんだけど俺にはMリカバーがあるし後方で延々とフレイムボール辺りを打っていれば多少戦力になるんじゃないのか?今度試してみよう。





「いえ。そうなる前に気づかず申し訳ありませんでした。次は秘策がありますから任せてください。」





「まあ!それは楽しみにさせて頂きますね!」





卑怯な作戦の様な気もするが仕方ないじゃないか。





「確かに、あっしも勇者様を気にするあまりちょいと警戒を怠りましたね。まぁラビ―種に王女がやられるとは思っちゃいませんが失礼しました。」





俺がそんな事しなくても問題なかったのかも知れない。でも何かあってからじゃ遅いんだ。やらないよりやってみた方がいいだろう。





「ところで勇者様方、レベルの方はどうですかい?一応そっちの方がメインなんですが。」





そういえばそうだ。俺は3体しか倒してないからその辺りはどうなんだろうか。俺だけレベル1だったらつらいものがあるぞ。





・・・ステータス。よかった、レベルは4になっている。初めは上がりやすいとか?


パラメータも各種3ずつ上がっている。1レベル毎にパラも1上がる感じか?


他の同期はどうかな?





「おっ!そうだな!ステータスっと!・・どれどれ?おー!レベルが上がってんぞ!」





ふむふむ。





「ホンマや!レベル4になっとる!」





へぇー。倒した数が違ってるのに同じ4?





「俺もだ。各数値も結構上がってるな。」





え?





「真弓さんも須藤さんも同様でよろしくて?」





「わたしも同レベル4になってるよ。」





「俺もレベルは4だけど・・・ちなみにみんな上昇値ってレベル毎に1じゃないの?」





「いや?若干のバラつきはあるけど大方12前後は上がってるな?」





レベル1につき平均4か・・勇人は元が高スペックだし上がり幅も大きかったりするんじゃ・・・





「わたしは魔攻って数値が結構伸びてるけど他は8から10くらいかな?」





東雲さんも伸び率がいいな。他の連中も自分の特性が1番伸びて他は東雲さんと同程度上がっているらしい。なんで俺だけ1ずつなんだよ・・・





「なんや須藤!3しか上がってへんのか?のんびり屋やなー。」





「攻撃力なんて単純に俺の方が数倍強いって事だよな?!間違って攻撃されないようにしとけよ!」





「・・・ああ。そうするよ・・・」





「銀次君・・・」





「だ、だいたいレベル1上がるごとに数値も1あがるのが普通ですよ!他の勇者様たちが凄すぎるだけですよ!」





エミリア王女の必死さが逆にツライ。





「おいおい、銀次。ますます差がついたみたいだな。大丈夫か?これから。」





勇人が小さい声で俺の傍で耳打ちしてきた。言い返そうにも言葉が出ない。





「でもよー。なんでみんなレベルの上がり方が均一なんだ?こういうのってたくさん倒した奴が一番貰えるんじゃないのか?」





「おかしいなー。普通こんな事ないんだけどね。仮に冒険者が1体を数人のパーティーで討伐しても倒した人が経験値を多く貰えてるっぽいんだ。倒す過程も経験になるからある程度はパーティーにも入るみたいだよ。」





「そこまでの貢献度合いとかは関係あるのか?」





「んー。ないと思うよ。だから冒険者は無駄に経験値渡すのを嫌がって、なにもしない、出来ない人をパーティーには誘おうとしないかな。でも勇者さんたちはみんな平等に討伐した時の経験値が入ってるっぽいね!これは凄い事だよ!」





「普通はラビ―50匹程度じゃ1あがればいいほうですぜ。経験値効率も勇者様は特別ってわけですかい。」





「それなりに上がってくればラビ―じゃ何匹狩っても上がらなくなるけどね。」





亮汰と勇人の問いにメーシー先生とギャレスはそう答えた。こっちに来てからわざわざパーティを組むって作業はした記憶はないけど勝手にパーティになってるのかな。


それにそういえばゲームでもアタッカー、ヒーラー、タンク役割は色々あるけど仲間同士で経験値に差があるゲームは俺はやった事ないな。敵の経験値は固定だ。レベル差によってはあるけど。


コマンド選択型RPGが好きなんだけどほとんどそうなんじゃないか?もっと言えば隠れているだけで経験値が入るゲームだってある。


低スペックの俺としては凄いありがたい話なのは間違いないけどやっぱりもどかしい。


俺もみんなと同じように戦いたい。





「エミリア王女様。俺に色々な魔法を教えてください!あとメーシー先生。この世界の文字も細かく教えてください。」





「・・ギンジ様!はい!私に任せて下さい!」





「そういう気持ちは嫌いじゃないよ。任せれよう。」





そうだ。腐っているだけでは何もかわらない。出来る事を少しずつでもやってダメならその時他の事を考えればいい。能力が低くても考える事は出来るんだ。





「銀次君!私も魔法の修行に付き合うからね!」





「ウチも動き方くらい教えてもええよ。」





「そっか。ありがとう。」





東雲さんと西城も教えてくれるらしい。





「俺は疲れたから今日は休ませて貰おうかと思う。」





「あー俺も横になりてぇな。」





「今日は帰って明日になさったら?わたくしも湯浴みをしたいわ。」





すぐにでも何か始めたいのだけど初めての実戦で体も心も緊張してるし明日からの方がいいのかもしれないな。





「わかった。今日は帰って休もうか。」





「体を休める事も大切だからね。んじゃまた明日王女様とお迎えに行くよ。エミリア王女、先に一人で夜這いなんてダメだよー?」





「そんな事しません!」





こうして俺たちの初陣は俺の決意を新たにさせてくれるものになった。みんなが俺をどうみてるのかはわからない。だが協力してくれる人がいるんだ。もう少し頑張ってみよう。








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