第7話 訓練
ガキィン!ガキィン!
うおおお!!どりゃあああ!!
凄い熱気だ。ここが訓練場か・・・
「勇者様方、こちらが兵士の訓練場になります。各部隊が持ち回りで訓練、町の哨戒、外の調査等を行っております。」
ざっと見渡しても200~300人程の兵士達が剣やらナイフやらの武器を持って戦闘訓練を行っている。若干仕切られた場所では魔法の訓練も行っているようだ。
本当に異世界なんだな・・こんな光景現実じゃありえない。銃刀法あるし。
「おぉ・・すげぇな・・」
「某ダイエットジムより痩せられそうや・・」
西城よ。痩せるためにやるんじゃないぞ。それにしてもこちらにきてからは驚きっぱなしだな俺たちは。
「全員!訓練やめ!集合だ!」
ライーザさんがそう一喝すると兵士たちは機敏な動きで広場へ集合し整列した。かなり統率が取れた動きだな。現実世界の体育の授業でありがちなだらだらと遅れてくる様な奴は誰もいない。
「皆の者!こちらにおられる方々が召喚に応じて頂いた伝承の勇者様方だ!今後諸君らと訓練し世界の平和をお守り頂く!諸君らも遅れを取らぬよう精進せよ!」
召喚に応じた覚えはないんだけどな。まあいいか。ライーザさんがご挨拶をと言うと勇人がサッと前に出た。こういうのは勇人が似合う。
「神宮寺勇人と言います。勇者、と自分で言うのは変な気分ですがこの世界の為に出来る限りの頑張りたいと思います!今はレベル1の様ですがどうか皆さんの力を貸してもらいたい!」
勇人は流石だな。勇人に続いて俺たちは自己紹介をした。
おおおおお!!
ついに勇者様が!
まかせて下さい!勇者様!
ユウト様カッコイイ!
マユミ様命!
いや!カオリ様もイイ・・・
アンナお姉さま!
兵士たちも相当盛り上がっているようだな。若干変なのも交じっているが問題ないだろう。
「お前ら!静かにしやがれ!これより勇者様方に訓練に参加してもらう!失礼の無いように!」
ギャレスも普段とは違って副団長らしい雰囲気だ。
「勇者様方、まずは武器を選んで頂きましょう。なんでもかまいません。好きな武器を選んでくだせぇ。」
俺たちの目の前に色々な武器がずらっと並べられた。
ゴクリ・・・本物の武器だ。本当に俺に出来るのか・・・?覚悟はしたはず。
どの武器を選ぼう。どれもしっくりとはきていないが一応剣を選んでみよう。それほど大きくなく扱いやすそうなやつにしてみるか。他の連中も選び終わったようだ。
「俺はこれだな!手甲!切るより殴る方が慣れてるからな!」
亮汰はそういいながら腕をブンブン振り回している。慣れてるって社会人が喧嘩してばれたら理由によっては懲戒だぞ。
「ウチはこれかなー。軽くて動きやすそうやん!」
「わたくしはこれですわ!これが一番好き!」
「わたしはこの弓矢かなぁ。習ってた事もあるしこれがよさそう。」
「俺はこれだな。なんとなくだけど呼ばれた気がする。」
勇人は剣、亮汰は手甲、西城は両手に小ぶりなダガー、姫崎は鞭、東雲さんは弓を選んだ。東雲さん弓道習ってたのか。真弓って名前だし名家だったりするのかな。
皆自分に合ったものを選んだようだ、というか各々のステータスにあった武器を本能的に選んだのか・・俺はそんな感覚なかったんだけど・・・オートMリカバーだし。
「では立ち合いを始めましょう。勇者様方には今選んでいただいた武器の刃引きをしたものを用意させました。まずは・・騎士剣部隊第一小隊長!前へ!勇者様の方はジングウジ殿でよろしいでしょうか?」
「わかりました。よろしくお願いします。」
「相手から一本取るか、もしくは相手が気絶するまでとする。」
「どうすれば一本なんですか?」
「良いのが入ったらですね。」
「了解です!」
「では、初め!!」
「でやあああ!」
小隊長は剣を振りかぶって突っ込んできた。気迫がこもっている。
「訓練とはいえやっぱり怖いな・・でも!」
ガイィン!!
勇人は小隊長の剣を自分の剣で受け止めた。初めてなのによくそんな事出来るな・・・高ステータスだからなのか?
「力が湧いてくる!向こうじゃこんな感覚なかった!・・っせい!」
ドンッ!
「ぐっ・・・!」
鍔迫り合いを制し勇人は小隊長を下がらせた。
「よしっ!今度はこちらから・・あぁ、なるほど。こうかな?」
その後追撃するかに見えた勇人だったが何か閃いたような顔をして剣を構えた。何だ?
「いくぞ!聖剣技[ダブルスラッシュ]!!」
ガイン!ガイィン!
「何っ!ぐあっ!!」 ドサッ!
「一本!それまで!」
「よし!やったぞ!」
ワーワー!勇者様ー!スゴーイ!今の見たー!?カッコイー!
なんだ今のは?聖剣技?勇人のスキルにあったやつか?ダブルスラッシュ。高速の2連撃か・・凄いな。あれでレベル1とか・・チートだ・・
「ジングウジ殿。お見事。初めて剣を握ったとは考えられません。それに聖剣技とは?スキルですか?」
「いえ。ギャレスはもっと強いのでしょう?俺もよくわからないのですが急に頭の中に名前と使い方が浮かんできました。」
「こりゃあすぐにでも抜かれそうでさぁ。ジングウジ殿そりゃ恐らくスキルですぜ。スキル持ちに魔法も使える、勇者の名前は伊達じゃありませんな。」
やっぱりスキルか。戦闘系のスキルは武器を持ってないと発動出来ないのかな?だから勇人は剣を持って初めてスキルの感覚をつかんだ、とか。俺のオートMリカバーは戦闘系じゃなさそうなんだが・・・
「それほどで・・も・・?・・おっと?」
どうしたんだ?勇人はよろよろとふらついてしまった。
「スキルは魔法より魔力の使用量は少ないですが魔力を使うのです。初めてスキルを使ったことにより体がびっくりしたのでしょう。勇者様ならば少し休めば大丈夫でしょう。」
「勇人様!大丈夫ですか?ステキでしたわ!」
「ああ。もう大丈夫だ。ありがとう杏奈。」
「おっしゃ!次は俺な!」
「ウチもやってみるで!」
「よし!お前ら!勇者様に胸貸してもらえ!」
亮汰と西城はやる気にあふれてるな。
俺も試してみたい、が、皆と比べて低いステータスだけどここにいる兵士達相手に勝てるのだろうか。剣なんて握ったこともない。緊張で腰が抜けないだろうか?怪我しないだろうか?
考えても仕方がない。やれるだけやってみよう。
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