第4話 死神の名前は『ナターシャ』①

10月3日月曜日の朝のことである

その日は午後から行われる会議に出席の為に大阪に向かう事になっていた。

新幹線のぞみの発車時間は9:32分

昨晩コンビニで買っておいたおにぎりを食べながら、賢太はスマホに手を伸ばした、LINEの通知が5件

すべて1人娘のまなほ穂からのメッセージだった。まなほ穂の母親、沙樹と離婚したのは約2年前のことだった、別れの原因は今となっては解らず仕舞いだった。

ある日曜日の朝テーブルに1枚のメモを残しまなほ穂を連れて家をでた沙樹は、実家の近くにある小さなアパートで生活しながら、独身時代に勤めていた会社に復帰していた。


『パパ助けて』

この言葉を見るのは何度めだろう、新しい服が欲しい時、友達と遊園地に行くとき…その他いろいろ

困った時に泣きついて来るのはいつものことである

その度に可愛い娘の願いは叶えていた。

沙樹の仕事は、一級建築士の仕事をサポートする仕事である

雑用も兼ねてはいるが、やりがいはあるといつもいっていた。

離婚してから好きな仕事を再開してイキイキとしていた。

賢太は妻と子に去られ仕事にも疲れきっていたので羨ましくもあった。


今の時刻は7:32分愛まなほ穂が学校に向かうのは、8時過ぎなのでそれまでにと返信を送る。

まなほ穂おはよう、どうした?』

返信されたのは、15分位たったあと


『お母さんが』

それっきりだった

心配になった賢太はLINEのメッセージではなくて、電話を掛けた

まなほ穂はすぐに電話に出た


『どうしたんだ?』

『パパ…あのね』

『ママが昨日帰って来なかった』

今にも泣き出しそうな声の娘の声に怒りが沸いてきた


アイツ何やってるんだ?

『ママに電話したか?』

『うん、何回もしたよ』

『電源が入ってないって』





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沙樹と一緒に生まれた死神の名前は『ナターシャ』美しい女の死神である

髪の色は銀色、瞳は深いグリーン



かたわらに眠っているのは沙樹だった。



☆続く☆









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