第2話 死神の名前は



佑都が生まれ育ったのは、神崎市立石町

この町は少し前まで田んぼと畑しか見当たらない田舎町だった、そこで生まれ育った

ここ数年で新しい住宅やショッピングセンターなども立ち住みやすい町になったとはいえ

まだまだ田舎と呼べるだろう


地元の小学校から中学校へと進むのがほとんどなので、ほぼ全員と顔見知りの狭い世界で佑都は暮らしていた。


そのせいか、小学生時代のあることがきっかけで、佑都はイジメにあうことになった、その日は給食がなくて午後には下校していたのだが、同級生と下校中に捨て猫をみつけた


「可愛い」佑都は思ったのだか、やんちゃ坊主のタケルはその子猫の首すじをつかみ水溜まりに入れようとしたのだ、佑都はそれが許せなくてタケルから子猫を奪い走って家に向かった



震える子猫とともに家に帰ったのだか、

家に入る勇気がなくて玄関に座っていた


そこへ、パート勤務を終えて母親が帰ってきた。


「佑都、その猫どうしたの?家では飼えないよ」

「そう言うと思ってた…」


佑都はランドセルを玄関に置いて走って逃げた


もちろん子猫も連れて。


空が茜色に染まりはじめる


近くの神社の陰に隠れている佑都の耳に聞こえて来たのは母親の声だった。


「佑都!」

「佑都!」

「佑都どこにいるの?帰って来なさい」「子猫連れて来ていいから!」


というわけで僕の宝物が増えた




子猫の名前は「クロ助」にした、その日から一人っ子佑都の友達であり弟分になった。


次の日からであるタケルたちグループから無視されたり、イジメにあうことになったのは


その悪夢は中学校に行きはじめても続くのだった。





「佑都起きなさい!学校に遅れるよ!」


いつもの朝がはじまる


なんかリアルなスゲー夢みたな

カラーだったし、疲れてんのかな?

マリオン姉さん、めっちゃ魅力的だったな


夢だし、思いきって抱きついたりすれば良かったかも

などと思いながら起きだす


あれ?


誰だ?


部屋の隅に体育座りするやせっぽちな男発見


「おはよう佑都君」

「あの、その本当にごめん、僕がハンコ忘れたから………」

語尾はゴニョゴニョ言ってて聞き取れない


え?夢じゃなかった?


「普通、死神って人間の目で見えんの?」


「あの、本来なら見えるべきではないですが

稀に見えるらしいです」

「佑都君…あっ…慣れ慣れしく呼んでごめんなさい」

「いや、いいよ、でも詳しく教えてよ、いきさつを」


オタク死神が、何故か震えながら話だす


ビルの屋上から飛び降りたのは夢じゃなかったのか?そう思いながら聞いていた



「んでハンコってのは?」

オタクがハンコを見せた

死神だから悪魔チックな髑髏でもついてるかと思いきや、シャチハタっぽい

なんか残念な感じがする


「ぼく、ハンコを佑都君が子どものとき使ってた携帯ストラップにつけて首からぶら下げてて」

「ずっと付けてたら、首が痒くなって」

「それで、あの日部屋に忘れたままだったみたいで、本当にごめん」



「んで、10年間は死ねないってホント?」


「はい……ゴメンナサイ」


マジか…


「歳は?名前は?死神にだって名前あるでしょ?」



「歳は100歳です」

「マリオンさまが言っていたように、見た目は20歳くらいですが…」


「……僕と同い年くらいにしか見えませんが?」イラッとする佑都



「名前は?」




「人間とはちょっと違うかもしれませんし、親とかもいないので単なるコードネームですが……」


「クレイジーダイヤモンドです」


「はい?もう一度聞いていい?」



「だから…クレイジーダイヤモンドです………」




「確実に名前負けしてると思うよ、マジで!」



佑都とオタク死神との生活がいまはじまった




※住所などは完全フィクションです(知ってるわ)(笑)





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