第2話 このゲーム



 “リアル・ファンタジー・ドリーマー~異世界ファンタスティック~”通称“RFD”または“リフド”または“RED”。サブタイトルから取って“IF”なんて呼び方もある。

 REDはスマホのSNSの投稿時の打ち間違いから呼ばれるようになったらしい。ちなみに俺は呼びやすいとの理由からREDレッド派だ。


 正直タイトルはどうかと思うが……五感対応のVRMMORPGだ。


 発売されて半年経ったこのゲームはこの専用ヘッドギアが必要不可欠。ヘッドギアはこのゲーム専用機である。

 普通に売っているVRのようにリアルでの動きに連動して……とかではない。と言うより、一種の仮死状態に近く、リアルでは全く動かないし、喋らない。

 なので、ベッドに寝転がるかイスに座って起動することが推奨されている。


 このヘッドギアひとつで脳波を測定して、プレイヤーが動きたい動きをゲーム内で育てているキャラのステータスを反映して実際に動くようにしてくれるらしい。


 例えば、忍者や暗殺者アサシンのような動きがしたくても初期のステータスでは無理。キチンとレベル上げやそれ相応の訓練をしたらできるようになる。

 動きと脳波測定のタイムラグとかないのかと思うけど、大丈夫なんだそうだ。


 30万なんてポンとは買えない値段なのはゲームの質がいいから。

 サブキャラも1キャラ作れるが、本人の顔認証になるので家族で共有などは不可能に近い。

 画質も良く、視覚も嗅覚も味覚も五感全てがリアルのような精巧さ。


 当たり前だがゲームの中で食べたからと言って現実で太ることなんかない。好きな物を好きなだけ食い放題だ。


 そして小学生や中学生などが買えない値段なのでプレイヤーはほとんど大人だ。ほとんどっていうのは世の中にはセレブがいらっしゃるからだ。

 何か問題が起きても子供だからなんて甘いことはなく、相応の責任が生じる。

 以前子供がゲーム内でなにかしでかしたらしく、現実リアルで裁判になっていた。当時は買うつもりがなかったから内容は忘れてしまったが、ただ中学生相手に裁判となっていたのだけは覚えている。


 問題になりブラックリストに載ればログインは不可。30万が消える瞬間だ。

 もう一度別なヘッドギアを買っても、顔認証の情報が残っているためログインできない。そうなったら60万飛ぶことになる。


 みんなブラックリストに載りたくないから“人に優しく”をモットーにしているらしい。

 仕事を引退した人もハマっているらしいので全体的にプレイヤーの年齢層は上だと思う。


 サーバーは人数が多いとラグが発生したり、魔物の奪い合いが起きたりしてしまう。正式な数は公表されていないが、初回ログイン時に運営にランダムで決められ、それ以降は固定サーバーの住民となる。

 ただ、友人がいたりする場合は運営に申請すれば移動することもできるらしい。

 一緒に始めたり、紹介で始める場合は合言葉を設定しておけばキチンと同じサーバーにしてくれるらしい。

 合言葉がかぶったりしないんだろうか? と疑問に思うが、俺は一緒にやる友達もいないので合言葉を使う日はこないと思う。


 チャット機能(念話)もあるし、文字タイプのチャット機能(メッセージ)もある。

 サーバーが違っても念話もメッセージも両方のチャット機能を使える。念話はお互いがログイン状態であることが条件で、メッセージはメールみたいな感じだ。

 ちなみにこの機能はフレンドにならなければ使えない。ストーカー被害を出さない措置となっている。


 フレンド機能はプレイヤー同士のみ。NPC(ノンプレイヤーキャラクター)はNPCフレンドとなり、別物とされている。

 NPCフレンドはメッセージは普通に使えるが、念話はパーティーを組んだときのみ。

 そう。NPCともパーティーが組める。組めるが、ギルドで手続きが必要になる。プレイヤー同士はウィンドウ上でパーティーを組むことが可能だ。


 ルームという機能を使えば違うサーバー同士でも一時的にパーティを組むことも可能だ。

 “待ち合わせの家”と呼ばれる場所に行くとルームサーバーに飛ばされ、決められた合言葉が一致したらパーティを組んで冒険に行ける。その際はパーティ専用のサーバーになるらしい。


 メニューを開けばログも見れる。

 “○○の攻撃。155のダメージ”みたいな細かな戦闘のログはない。“○○を倒した”と出るだけ。

 レベルやステータスもあるが、経験値などは公表されていない。


 大人のゲームのため課金要素もある。

 公式ホームページで季節物の服やゲーム内ではなかなか手に入らないレアアイテムも売っている。

 レアな分リアルマネーがかかるが。

 キャラメイクをし直せる整形チケットもあるがこちらはリアルマネーで5万もする。

 ぼったくりじゃないか? と思うが、しょっちゅう変えられると運営的に困るそうだ。

 そうそう。サブキャラの数をもうひとつ増やすことも可能だ。こちらはリアルマネーで10万らしい。



 名前のかぶりも“この名前は○人います”と人数を教えて貰える。その時点でかぶるのが嫌だったら変更すればいい。

 同じ名前はある一定数超えるともう付けられないらしい。

 ゲームが始まってしまえば名前の変更は不可なので重大だ。

 そして記号だけの名前や“あああああ”などふざけた名前、下ネタに直結するような名前はダメだ。

 悪質だと思われるプレイヤーにはペナルティがあるらしい。さらに酷い場合はログインする前にブラックリスト入りとなる。


 BOTと呼ばれる所謂いわゆるRMT(リアルマネートレード)業者はいるかもしれないが、顔認証のため一人一台。しかも30万。そしてコツコツとレベル上げ。

 業者的には厳しいんじゃないだろうか。


 プレイヤーは鑑定・言語理解・無限収納インベントリは標準スキルとして付与される。

 確かにNPCと言葉が通じなかったり、文字が読めなかったら困っちゃうからな。

 無限収納インベントリは時間停止とフォルダ機能付きだ。


 ゲームの中では生産系で武器や防具やポーションを作ったり、牧場や農場主になったり、ただ放浪の旅をしたり、ひたすら魔物(モンスター)と戦ってレベル上げしたりと自由。

 小説やマンガでよくある異世界ファンタジーを満喫できるゲーム。

 そう。キャラメイクでは幼女や美女、イケメンにだってなれる。

 現実ではありえないリアルファンタジーだ。

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