第3話 残されたもの達

事件の始まりも突然だったが、

終わりも早かった

話が決まればトントン拍子で事は

進み

あっという間に荷物が運び出され

彼女は居なくなり

そして僕は何も出来ずに

独りになった


圧倒的に物の無くなったアパートで

暫くは放心状態で過ごした

いや、過ごしたかったのだが

しがないサラリーマンには日常があり

別れに伴う様々な処理があり

それらに忙殺される事で

様々な感情をすっ飛ばされて

日々が過ぎて行った


結婚生活の末、僕に残った物は

少々の衣類や荷物

そして唯一の財産とも言える車だった

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