毒も食らわば

「馬鹿だな、君は」


 茶会でに供されたケーキを食べ、その場を後にした彼女を追い、案の定座り込んでいたのを研究室まで運ぶ。


「うざい」

「吐き戻したくなければ言うことを聞きなさい……いや、この場合吐いた方が楽になるかもしれないが、君はそれをしないだろう?」

「うるさい」

「そうだな、ひとまずは話より薬か」

「いらない、」


 靴を脱いでソファの上で膝を抱えていた少女がようやく顔を上げた。血の気が失せて白い頬にうっすら伝うのは汗か。呼吸は浅く、誰がどう見ても具合は良くない。


「……馬鹿だな君は」

「ラヴリちゃんは馬鹿じゃないわよっ——」


 反発する口が開いたのを逃さず、手を伸ばして指をねじ込む。

 驚く顔に、ほんの少し、何かが疼いた。


「だが、好ましい愚かさだ」

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