学舎にて

 その日の昼食はカレーだった。士郎は侍隊に入隊後、学舎にて訓練と勉学に励む日々を送っていた。カレーは人気のメニューのようで最近週に一回は出る。元々、運動もからきしであったのに、毎日竹刀を振り回して剣道することになり、当然ながら何度も何度もボコボコに打ち込まれる。教官のシゴキはきついが士郎は耐えた。他にできることもなかった。中学校を思い出すと、もっと自分よりも剣道の才能がある者はたくさん居たと思うのでできるなら彼らに代わって欲しかった。退魔適正があるからといって兵隊としての能力がある訳ではないのだ。カレーの人参がうまい。午後は座学で算術なので幾分気持ちが楽だった。

 赤髪の女の子が配膳を受け取っている。きれいだ。ついつい腰のラインに目が行ってしまう。彼女は隊では珍しく女性なのだ。しかし、志願したとあって能力はかなり高く同期でも上位にあたる。男であるのに剣でも学でも負けるとはほとほと自分の才能のなさに呆れてしまう。それでも自分がやっていられるのは行きたくても行けなかった故郷の友人を思い出すからだろう。どんなに下手でも託された以上は務めを果たさなければならない。カレーもなくなってしまった。さあそろそろ時間だ。午後は算術。侍隊は少数精鋭である性質上現場での戦略立案も含め色々なことができるようにならなければいけないと教官は言っていた。まだまだ道は長い。


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