第9話 魔法には憧れているんだ中二病

 メイドの一人、アンナさんが魔法をそこそこ使えるそうなので、教えて貰う事になった。

 このアンナさん、魔術ギルドのギルド長の娘らしいけど、親には魔術で勝てないのを悟り、メイドになるという異端な人だそうで…教え方は判りやすくてオッサンでも使えるようになりましたよ。元々水生成がスキルに有ったのでそれを伸ばして土生成、火生成、風生成を身につけた。

 この世界では生成→魔法→魔術→魔導→魔神のランクがあり、例えば水生成ならば水道の蛇口から水を出す位しか出来ないが、水魔導ならダムの放流クラスができるようです。魔神クラスは世界にも十人居るかどうかでアンナさんの親も入っているってさ。そりゃ魔法以外に道を探したくもなるわな、どうしたって親と比べられる。

「右手から水生成、左手から火生成…できるか?」

(消滅魔法を編み出すんですか?マトリフ師匠に弟子入りしないと)ナビィちゃんもだんだん突っ込みが雑になるなぁ…あ、失敗だ。お湯が出た。

「失敗は成功の礎ですから魔力が無くなるまで色々とやってみましょう!」アンナさん、元気ですなぁ私より年上とは思え「なにか言いました?」いいえ、その手の紫色の固まりは雷ですか。おーこわ

 にこにこしてる分余計に怖く感じるアンナさんを尻目に水を一点集中させて矢を放つイメージ!「エンジェルアロー!」あ、的の右下に刺さった…ど真ん中狙ったのに…

(今度は三人いるのに二人の天使の青い方の技ですか。通常では外すイメージが有るから外れるんです。もっと真ん中居抜くイメージを!)

 ナビィちゃん、ひょっとして私の蔵書全部読んだんだろうか?

(小中高校の間に104000冊読んだ貴方にはかないませんよ)なんでそれを知ってる。

(ハルダーラ様から聞いております。もっとも、あまり勉強はお好きではなかったようですけど…)ほっとけ!ホットケソーサー!

(世界を救うのは無理だと思うし、他の転移者がやってくれるだろうから結構道彦さんはスローライフ出きると思いますが、それでも力はつけておいてくださいね)

 ひょっとして私以外にもあの列車に乗ってきた人居るんかな?

(ここの世界にはあの列車で下ろしたのは貴方以外は23人ですよ。他の世界にも下ろしたので詳しい数はハルダーラ様に聞かないと判りませんがね。貴方はよく眠っていたので、一旦他の人を下ろして他の世界を回ってきてもまだ寝ていたので無理やり起こしたのです。貴方どれだけ精神壊れかけていたのですか?普通の人の10倍は深く寝ていましたよ)

 そりゃあブラック企業あるある始業時間15分前には準備完了して5分前タイムカード、退勤時間過ぎたら5分以内にカード通して作業継続で何時に帰るか不明、終電で帰って始発電車で出勤が続く…(この話はもう良いです!とにかく心と身体がすり減っているのでゆっくり休んでください!)ナビィとアンナさんが私の身体に触れ二人揃って睡眠魔術をかけてきた。

 次に私が目を覚ましたとき、枕元に本が山ほど積んであって一番上にナビィが小さい蒲団で眠っていた。

 アンナさんからの手紙が置いてあって「この本を全て読んで出来るだけ覚えて下さい、文字は読めるように貴方に「読解トランスレイト」をかけてありますので半年位は読めるのでその間に読み書き覚えて下さいね!」

 こうして、20年ぶりの勉学に励む道彦であった。本を読むのは好きだけどねー覚えるのは…






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