第2話 テンプレと言わずにもっと説明を

「起きてください。真野道彦さん」

 聞いた事がない声で起こされる。寝鉄はよくやるが、起こされるまで寝ていることは少なかったと思いたいが。

「意識ははっきりしているようですからさっさとテンプレ通り此処からアイテムかスキル持って旅立ちなさい!」

 ん?アイテム?スキル?旅立ち?

 目を開けたらなんか神々しい雰囲気のトーガをまとった二十歳くらいの女性がいた。

「あのー此処どこでしょうか?乗り越したんでしたら戻りたいんですけど」

 目の前の女性をあんまり見ないように目をそらし、回りを見渡しながら聞いてみる。なんか変な井戸があるなぁ…

「此処は神界だし、元の世界に戻ることは早々できないから、諦めてテンプレ通りアイテムかスキル持ってさっさと旅立ちなさい。じゃないと後少しで貴方の魂が壊れてしまうわ」

 あ、これ異世界ファンタジーのテンプレか。

 前に読んだのは駄女神連れてく奴だったな…まだ寝てるんかな?

「もう時間ないからねーアイテムとスキル適当に渡すからさっさと行ってねー。選ぶ時間無くなったから向こう着いたら[ステータス]って思えば判るから。んじゃねー出来たら向こうの世界救ってねー期待してないけど」

 って後ろから女神?に蹴られ井戸に放り込まれたし。

 俺、三年前に0.1トンになってから頑張って二度と0.1トンにならないようにしていたけど、その身体を蹴っ飛ばすあの女神?どんだけ力あるんだよ?

 と井戸の中を落ちながら墜落死は嫌だな~って思ったら急に視界が開けて緑の濃い森が見えてってあそこに落ちたら間違いなく死ぬ!浮けっ

[スキル:空中浮遊が発動しました]

 そんな声が脳内に聞こえたとたん落下速度が急激にゆっくりになり降りていく。ん?もうちょい早く降りれるかな?おしっこチビりそう!

 意識して下に降りるイメージを持つと落下速度がさっきよりはましだけど、速くなり自分で調節できることを知り、なんとか回りに何も居ないと思われる処に降り立つ。虎とか居たら嫌だなー

[スキル:敵意感知が発動しました。付近150メートルは現在、敵意を感知しません。]

 あ、危なかった…着替えもないし制服の上から薄いジャンパー羽織っているだけだから漏らしたら社会的に詰んでたわー


 とりあえず、[ステータス]見ないと判らんか。

 真野道彦

 レベル 2

 力 あまり無し

 素早さ あまり無し

 賢さ どうだろう?

 魅力 あるわけ無い

 スキル 空中浮遊 敵意感知 水作成 鑑定 異世界通信✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

 アイテム 紙の剣(E) 異世界の制服(E) 異世界通信機器(E)

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 とりあえず、突っ込まないと生きていけない関西人の悲しい性を発動して「なんやねん!もっときちんと説明しろ!」と独り言。


 落ち着くために無意識にスマホを取り出し毎日の日課であるゲームアプリを操作しながら考える。

 …ん?何で通信できてるん?ここ異世界だったら通信できる訳無いよな?

 ってスマホ電池切れしたら終わり何じゃ…

身に付けてる予備充電電池パックは3本あるからまぁ1日持つか…





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