第39話 赤い月
生きることは容易いことじゃない。
そんなこと産まれた頃から知っている。
今日を生きることで明日が来るってことも…
明日は?
そんなもの…考えたこともない。
今日を生きることで必死な奴には今が全てだ。
眠れば明日になっている…
そんな奴らには解らないだろう、今を生きるということの大切さが…
そいつ等には理解できないだろう、今を眠りで逃げているという現実を…
死なないから生きているんだ…それだけ…
今日も人の捨てたゴミを漁って人に追い立てられる。
他の猫とゴミを奪い合って傷をつくる。
生きるために傷つき…生きると嫌われる…
なんで産まれた?
嫌われ…傷つくために産まれたらしい。
ずっと独りだ…ずっと…ずっと…
傷ついた体が痛む。
傷が痛い…
傷が痛い…
月の光から逃げるように陰で身を潜めて眠る。
浅い眠り…
だけど…今夜は…
月の光の下にこの身を晒そう。
傷ついた血の滲む身体を…油でベトベトな体を…
「赤いな…赤い月…」
ザクロのような不気味なGernetMoon
『永遠を彷徨う、小さな生き物よ…今宵は、この光の下で眠りなさい…』
痩せた野良猫が目を閉じる…。
明日は来るのでしょうか?
それとも…
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